トヨタとデトロイト

2013-08-05 08:29 am

トヨタの豊田章男社長は、「自動車は一つの企業でつくるものではない。地域や社会が潤って初めてつくれる」と語っています。トヨタは、ハイブリッド車や燃料電池車の開発を、豊田市を中心としてトヨタおよび部品会社の総力を結集して行うなど、本社のある豊田市を競争力の源泉としています。一方で、豊田市は、1959年の改名以降、人口が2.8倍の42万人に増えています。

トヨタという会社は、東日本大震災の後に、東北地方での雇用を担う「トヨタ自動車東日本」、人材育成を担う「トヨタ東日本学園」を設立するなど、“地域とともに発展する”というDNAを持っているようです。これは、CSV/シェアード・バリューのコンテクストで言えば、“クラスター/競争基盤のCSV”を実践していることになります。

豊田市とは対照的に、米国で自動車産業の集積地として知られているデトロイト市は、人口減少が止まらず、今年7月に財政破綻しました。これは、米国の自動車メーカーが、業績が悪くなると安易に大量解雇や下請企業の切捨てを行い、“地域とともに発展する”とは反する動きをしてきたためです。“地域ととともに発展する”という視点の欠如は、米国の自動車メーカーが競争力を失った一因でもあるでしょう。

海外で上げた利益を日本に投資するトヨタとは異なり、日産自動車は海外で上げた利益を原則海外に再投資するなど、異なる戦略を採っているようです。成功への道のりは一つではなく、“地域とともに発展する”“CSV/シェアード・バリュー”も唯一のアプローチではありません。また、トヨタは日本に対するこだわりがあるようですが、海外で第2、第3の豊田市をつくっていくというやり方もあるでしょう。

CSV/シェアード・バリューは企業の成功に向けた唯一のアプローチではありませんが、「社会に対して価値を生み出す」、「社会を持続可能でより良いものにしていく」というところに魅力があります。長期的に見れば、世の中は企業に対してそうした経営を求める方向に動いていくでしょう。CSV/シェアード・バリューの企業経営にとっての価値は高まっていくはずです。豊田市とデトロイト市の好対照をみながら、CSV/シェアード・バリューの価値を再確認しました。

(参考)

日本経済新聞朝刊2013.8.4

「CSV経営」赤池学、水上武彦著(NTT出版,2013年)

www.amazon.co.jp/CSV%E7%B5%8C%E5%96%B6%E2%80%95%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E8%AA%B2%E9%A1%8C%E3%81%AE%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%A8%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E3%82%92%E4%B8%A1%E7%AB%8B%E3%81%99%E3%82%8B-%E8%B5%A4%E6%B1%A0-%E5%AD%A6/dp/4757123140

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