ソーシャル・ビジネス

2013-08-22 09:23 am

グラミン銀行を創設し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏は、「ソーシャル・ビジネス」という概念を提唱しています。

ソーシャル・ビジネスは、社会問題の解決に専念する利他的なビジネスです。ソーシャル・ビジネスの目的は社会問題の解決であるため、会社に利益が生じても、誰にも利益は配分されません。一方で、ソーシャル・ビジネスは持続可能である必要があるため、経費を穴埋めする収益を生む出す必要があり、ビジネスの拡大に再投資するだけの利益は生み出す必要があります。「損失なし、配当なしの会社」と言えるでしょう。

以下のソーシャル・ビジネスの7原則が、その特徴を良く表しています。

①     経営目的は、利潤の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、情報アクセス、環境といった問題を解決することである。

②     財務的・経済的な持続可能性を実現する。

③     投資家は投資額のみを回収できる。投資の元本を超える配当は行われない。

④     投資額を返済して残る利益は、会社の拡大や改善のために留保される。

⑤     環境に配慮する。

⑥     従業員に市場賃金と標準以上の労働条件を提供する。

⑦     楽しむ!

これは、現在の資本主義システムの力を活用しつつ、企業に新たな視点を提供することにより、社会問題を解決しようとするCSV/シェアード・バリューとは異なり、新しい概念のビジネスを生み出そうとするものです。本格的な普及のためには、ユヌス氏も言っているように、新しい法制度、新しい株式市場などが必要となる、かなり実現に向けたハードルの高いものです。

しかし、ユヌス氏の影響力もあり、ソーシャル・ビジネスに取り組む企業は、増えています。貧困国の栄養不足を解消するために、ビタミンなどの栄養素が豊富で、子供にとって食べやすく、貧しい人々でも買えるヨーグルトを提供する「グラミン・ダノン」。低価格で安全な飲料水を提供する「グラミン・ヴェオリア」。マラリア撲滅のための防虫剤を施した蚊帳を提供する「BASFグラミン」。情報通信技術を利用して、医療サービスの提供など農村部の貧困者の問題を解決しようとする「グラミン・インテル」。最低所得者向けの低価格な靴を生産することを目指す「グラミン・アディダス」など、大企業がソーシャル・ビジネスに取り組む合弁会社を設立しています。日本企業では、ユニクロが、ヒートテックやフリースを低価格で提供する「グラミン・ユニクロ」を設立しています。

これらの企業は、事業の一部としてソーシャル・ビジネスを推進しています。その意図はどこにあるのでしょうか?現段階では、CSV/シェアード・バリュー戦略の一環として、ソーシャル・ビジネスに取り組んでいるのではないかと思います。途上国ビジネスのノウハウ獲得、ステークホルダーのレピュテーションの向上、従業員のロイヤルティ・モチベーション向上、社会の新しい変化への対応などにより、競争力を強化するところに主眼があるのではないかと思います。

CSV/シェアード・バリューは、「ソーシャル・ビジネス」など、新しい変化を生み出すステップにも成り得るものです。

(参考)

「ソーシャル・ビジネス革命」ムハマド・ユヌス著(早川書房、2010年)

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