クレアンに期待すること
ダイアログを終えて
野村氏:ありがとうございました。せっかくお集まりいただいていますので社員の方の意見もお聞きしたいと思います。
社員A:クレアンの中ではクレアンらしく「とんがれ」と言われます。多少無理な話であってもあるべき論を展開すべきと。それをお客様との間できちんと前向きに議論をしていくためには、お互いのいわゆる「信頼」というのがベースになると思っています。私たちが皆様から見て信頼に足るような資質を持っているのか、あるいはそういうことをするためには何が欠けているよみたいなことを、貴重な機会なので教えていただければと思うのですが。
中村氏:まず信頼に足るかどうか。足るからこそ選んでいるのです。クレアンをパートナーとして選ぶ際に一番強く感じたのは、CSRで世の中を良くしていこうという強い意志。これなら自分たち企業にとって良いアドバイスをもらえると思いました。継続して仕事を依頼しているのもその期待に応えてくれたからです。
ただ世界はどんどん変わります。だから先んじて勉強していただきたい。特に私が一番注目しているところはグローバルCSRを進めるために何をすればいいのか。そこを強化してアドバイスをもらえたらと思っています。
野村氏:もちろん信頼はしていますが、たとえばレポートを納品した後のレビューのやり方。もっときちんとやれば、次の年の指名率ももっと高くなるのではないかと思います。やはり絶えずPDCAを回していないといけない。一生懸命やられているのはわかるのですが、それがきちんとアウトプットにつながっているのかということを企業視点で厳しく見る必要があるのではないかと思っています。
豊田氏:あとは、法定開示なんかについて、もう少し皆さん勉強されたらいいのかなと思います。たとえば有価証券報告書をあまり読まれている感じはしないですし……。企業とつき合うに当たって、会社法や財務会計に関するある程度の知識を身につけたら、もっと仕事の歯車が回りやすくなるのではないかと思います。
水口氏:逆に私の方から皆さんに質問したいのですが。いろいろな会社とつき合われて、たとえばCSR報告書をつくるにしても、これは満足だ、いいものができたと思うときと、そうでないときがあるのかなと思ったりするのですが、そうなのですか?
つまり私は会計士でもあるのでいろいろな話を聞くのですが、たとえば会計士が保証をつける場合でさえ、基準の解釈などで会社側とぎりぎりの攻防をすることがあるようなのです。今はクレアンがすごい会社だということはよく分かりましたし、変わった人がいっぱいいることもわかりました。これほめことばなんですよ。とてもいい会社だと思います。
以前はコンサルタントが報告書をつくるといったら、見栄えのいいものをつくることをサポートしているのではないかと思っていました。今日ここに来る道々考えたのは、最近起きた、いわゆる古紙混入率の偽装のことです。これは、偽装だということがはっきり分かるのですね。今まで隠していたから見えなかったけれども、見つかったら偽装だったということが分かります。ところが世の中には明確に偽装とは言えないけれども変だということがあるのではないかと思うのですね。
CSR報告書というのはまさにそうで、別に偽装ということではないのだけれど、すごく頑張っていると言いながら、実は100ある問題のうちの10の部分だけ頑張って取り組んでいるとか。でもそれは嘘ではないし、報告書にもそう書いてある。でもなんか納得いかないという……。そういう見えない偽装というのでしょうか。もしそういう方向に進んでしまったら、社会全体としては逆効果になるかもしれません。もともと私が環境報告書やCSR報告書を推進したいと思ったのは、本当に頑張っている企業を社会やマーケットがきちんと評価するような仕組みが必要だということだったものですから。
社員B:水口先生への答えになるかどうかわからないのですが、やはりたった1年で結果を、というのは実は難しくて……。今日来ていただいた豊田さん、中村さん、野村さんは長くお付き合いいただいている企業さんなのですが、たとえば1年目につくったレポートと、2年目、3年目とではやはり違うのですね。1年ごとの変化は小さいのですが、3年お付き合いいただくとその企業さんが変わったなというのは実感するし、担当者としてやはり嬉しくなります。そうすると、そこで満足度は上がります。私自身は、結構長くお付き合いいただいているクライアントさんが多いので、そういう意味で満足度は高いです。
ただたとえば広報出身の方がCSRに来られたりすると、いい面ばかりを見せようとされる傾向があるので、ネガティブ情報があってもどうしても出さない、ということがあります。それを出すことでむしろ信頼度が上がりますよ、と説得をしても、やはりそこは出せない、というところでジレンマを感じることもあります。それできれいなレポートができて、他社の方から「いいですよね」と言われると、ちょっと首をかしげるところはあります。
野村氏:今のネガティブ情報という話でいうと、よく皆さんは出したほうがいいと言うのですが、企業の立場から見ると、そのネガティブ情報を出す理由について、納得いく説明をしてほしいのですよね。「GRIガイドラインにあるから」とか、根拠もなく「出した方が今は評価される」などといういい加減な理由ではなくて。
水口氏:ネガティブ情報だけが問題なのではないのですが、やはり本当にいい会社は本当によく見える。それなりの会社はそれなりに見える。そういう報告書になるべきだと思うのです。
変な質問をして申し訳ありませんでしたが、おっしゃるように、読み手の方もどう読んだらいいか分からないというか、非常に読み方が難しくなって来ているなと思うのですね。これは僕たちにとってもジレンマで、たくさん報告書を出してほしいし、情報もいっぱい書いてもらいたい。いい報告書をつくるためにはコンサルタントの力も必要だろうと思う一方で、報告書がいっぱい出てきたときに、やはり読めないというか分からなくて。当初の意図とは違って本当にいい企業ではなくて、グリーンウォッシュというか、見せ方のいい企業だけが高く評価されてしまうようなことになったら、かえって本末転倒になると。そこをどうしたらいいのかという感じを持っているのです。
ただ、ひとつ思うのは、会計士の世界でこんなことが言われるのですが、監査法人が「この会計手段は絶対まずいから、これだけは認められません」と突っ張ねると、最後はどうなるかというと、監査法人を替えてしまうというのです。監査法人が交代したらあやしいということですね。なるほど、クレアンと長く付き合っていない会社はあやしいのかというのはちょっとした示唆になります。
辰巳氏:すごいですね、最後の締めとして。
薗田:本日は本当にどうもありがとうございました。皆様方から非常に貴重な意見をいただき、クレアンに寄せる期待だけではなく、皆様方が社会をどういうふうに考えていらっしゃるか、どういうふうにしていきたいのかということを伺えて、私だけではなく、社員のみんなも非常に参考になったと思います。水口先生がおっしゃっていたレポートの読者は誰なのか、クレアンの顧客は誰なのかということも、認識した上で企業さんを支援しているつもりでしたけれど、改めてもう一度そこの部分はきちんと私たちも考えていかなければいけないなと思いました。
私自身、良い社会をつくりたいという想いからこの会社をスタートし、クレアンのミッションであるサステナブルな社会を実現するためには、今は企業がまず50社変わることが早道と考え、事業を展開してきました。なので、クレアンとして企業を変えていくというか、企業が変わるためのお手伝いをしていきたいということがあって、レポートをつくるプロセスを通じて、企業の方たちの価値観をもう少し市民側に寄せていくというか、そういう共有の価値観を持てるように、というようなところでやってきたのですけれども、いよいよ市民側にもっとシフトして行かなければいけないなというふうに感じています。
この5年間ほどは実はずっとそれを感じていて、クレアンの事業計画の中では、企業や社会に対して建設的にものを言える、そういうステークホルダーを育てていくことの事業化に取り組んでいるところです。企業と一緒に市民を巻き込んでいくという事業にしていきたいと考えておりますので、ぜひ、また皆様のお知恵もお借りできたらと思っています。いろいろなかたちで1歩でも2歩でもサステナビリティの世界に近づいていくように頑張っていきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。本日は本当にどうもありがとうございました。
