サステナビリティを軸にした変身:ユミコア

2014-02-13 08:53 am

毎年ダボス会議で発表される「Global 100-世界で最もサステナブルな企業100社-」で、昨年の第1位は、Umicore(ユミコア)というやや聞きなれない企業でした。ユミコアは、今年のGlobal 100では、全体の9位に下がりましたが、BASFなどを抑えて業界トップの評価を受けています。

ユミコアはベルギーの会社で、もともとはベルギーの植民地であったコンゴで、鉱物を採掘しベルギーで精錬する会社でしたが、アフリカの内紛の影響で、ザイール政府に鉱山を取り上げるなどもあり、鉱業の将来に疑問を持ちました。その後ユミコアは、土地からではなく都市から鉱物を収集し、精錬する会社に生まれ変わりました。ユミコアは、都市鉱山からのリサイクル事業、自動車触媒、二次電池材料などを手がけ、サステナビリティと意識の高い資本主義を企業の教義とし、具現化している企業となりました。

ユミコアの革新的な変身には、46年かかりましたが、サステナブルなビジネスモデルにより、ユミコアは新しい形で成長することができました。ユミコアは、変革のために鉱山資産の大部分を売却し、金属リサイクルのための科学技術に投資しました。そして、環境安全を企業の意思決定の基本基準としました。こうした投資が成功するという確信がない中、ユミコアは、株主に忍耐と忠誠を求め、従業員には、新しい業務基準のもと、オペレーション重視からイノベーション重視への変化を求めています。

サステナビリティがビジネスの主要な話題となるようになったのは、ここ5年のことです。それ以前は、環境主義者の空想のように思われていました。多くのビジネスパーソンは、サステナビリティが利益を生むとは考えていませんでした。しかし、ユミコアのサステナビリティを軸とした戦略は成功し、現在、ユミコアは、アフリカ、アジア、南米を含む34カ国で事業を行い、売上は、年間約1兆7,0000億円、14,000人以上の従業員を雇用しています。

マイケル・ポーター教授は、戦略とは市場におけるユニークなポジションを築くことで、他社との差別化が重要であると説いています。また、ブルーオーシャン戦略では、他社が容易に模倣できない方法で顧客に価値を提供するユニークなポジションを築くことが重要とされています。サステナビリティは、ユミコアが生き残り、競争力を維持することを可能にしました。ユミコアの取り組みは、サステナビリティが、環境を保全しより良い社会に貢献しつつ、企業にとって長期的な価値を生み出すことを示しています。

(参考)
www.corporateknights.com/report/9th-annual-global-100/umicore
www.sustainablelifemedia.com/news_and_views/brand_innovation/cecilia_wandiga/umicore_how_sustainability-driven_innovation_transfo

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