ベネフィット・コーポレーションとBコーポレーション

2014-02-24 08:50 am

以前のブログで、営利企業でも非営利企業でもない、経済価値と社会価値を両立させる第4セクターである「共益企業」について書きました。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=582#.UwdGm2fNvIU

米国では、共益企業として、「ベネフィット・コーポレーション」が広がっています。社会的使命を最優先とする行動について、株主から訴えられることのないよう法的に保護された営利企業です。当時は、米国7州で法的枠組みが整備されていると書きましたが、現在では、20州に広がっているようです。

このベネフィット・コーポレーションの法制度導入を各州に働きかけているのが、Bラボ(B-Lab)というNPOです。Bラボは、ベネフィット・コーポレーションの導入促進と並行して、自らBコーポレーション(B Corp)という、社会に価値を生み出し企業を認証する仕組みを創っています。

ベネフィット・コーポレーションとBコーポレーションは、名前も似ており、両方とも社会価値を追求する企業ということで、紛らわしいのですが、別のものです。ベネフィット・コーポレーションは法制度に基づくもので、Bコーポレーションは、Bラボが独自に認証しているものです。Bラボとしては、社会価値を追求するBコーポレーションを法的に保護するために、ベネフィット・コーポレーションという法的枠組みを広げているということなのかも知れません。

Bコーポレーションのほうは、法整備という制約がないため世界中に広がりつつあり、現在は、29カ国60以上の業界で、900近くの企業が認証されているとのことです。私は、毎日、海外のサステナビリティ関係のサイトをいくつかチェックしているのですが、CSRwireなどでは、頻繁に、新しい企業がBコーポレーションに認定されたとの記事が載っています。

Bコーポレーションになるには、Bラボの作成したインパクト評価で、200点満点の80点以上を取る必要があり、毎年、社会価値創造に関するレポートの公表が求められます。こうしてBコーポレーションになると、Bラボからマーケティングや資金調達に関する支援が得られるほか、Bコーポレーション間での情報共有や協働が可能となります。

Bコーポレーションのコミュニティでは、最近、”B the Change”という新しい活動を開始しました。900近くの企業と2000万人のサポーターが力を合わせて、「ビジネスの力を良きことのために使う」「企業の成功を再定義する」ことを押し進めるキャンペーンです。まずは、16の企業が”B the Change”のロゴを付けた様々な製品を開発し、オンラインのほか、ホールフーズ、ターゲット、ウェグマンズなどの店舗で販売を始めました。Bコーポレーションのコミュニティは、いろいろな力を持つ企業が集まっており、協力することで、社会に影響を及ぼす活動ができる可能性があります。

CSV/シェアード・バリューは、通常の営利企業に新しい視点をもたせることで、社会価値と企業価値を両立させようとするものですが、Bコーポレーションやベネフィット・コーポレーションは、社会価値の創造を主たる使命とする新しい企業を生み出そうとするものです。今のところ、Bコーポレーションとなっているのは、小さい企業が多く、代表的な企業としては、パタゴニア、ベン&ジェリーズ、エスティといったところですが、急速に広がっており、注目すべきものです。

(参考)

www.csrwire.com/press_releases/36586-900-Certified-B-Corps-and-their-20-Million-Friends-Launch-the-B-the-Change-Campaign-Celebrating-and-Rewarding-People-Using-Business-as-a-Force-for-Good

benefitcorp.net/what-makes-benefit-corp-different/benefit-corp-vs-certified-b-corp

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