ヤマハ発動機のアフリカ漁業開発支援
安倍首相が今年1月のアフリカ歴訪において、以下のようなスピーチをしています。
「TICAD V(第5回アフリカ開発会議)で、あるアフリカの指導者が、こう言ってくれたのを思い出します。
『日本の企業だけだ、働くとはどういうことで、何が労働の喜びか、”倫理”を教えてくれるのは』。
私は感動しました。日本企業と、そこで働く無名の日本人たちが伝えようとしてきたことを、見事に要約してくれた――、そう思えたからです。
日本の会社とは、利益を生む場です。が、それより前に、学びと、工夫を共にし、苦労だけではなく、喜びを分かち合う場です。
日本が成長できた理由も、同じこと。未来を、今より明るくしたい、できるはずだと信じ、努力を怠らなかった無数の日本人、『一人、ひとり』の努力にあったのだと思います。
皆さんに、ご理解いただきたいのは、日本企業がアフリカにやってくるとき、このような、経営の思想を、必ず一緒に持ってくる、ということです。
『一人、ひとり』に力をつけてもらい、創意を引き出そうとする思想です。
例えば、漁船につける船外機を売るとします。漁師の漁撈指導まで、普通はやりません。でも、行動半径を広げることを可能にする漁法を漁師に伝授したとすると、回り道でも、船外機の売れ行きはむしろ安定するでしょう。
日本の会社は、そういう売り方をします。カスタマー『一人、ひとり』に、技術をわがものとする、真のエンパワーメントを、自ら図ってもらおうとする思想です。これは、ヤマハ発動機が、モーリタニアで実際にやった方法でした。
ヤマハは、さらに進んで、モーリタニア初となる、造船工場の建設を手伝いました。モーリタニア人を日本に送り、造船技術を習得させました。そうしてできた工場から、この2月、『メイド・イン・モーリタニア第一号』となる漁船が、晴れて進水の運びです。
『一人ひとり』を大切にする日本企業がアフリカに来ると、本当の意味で、Win-Winの関係ができます。」
ここでヤマハ発動機が行っているのが、クラスターのCSVの一つ「需要創造のCSV」です。社会とのWin-Win関係を構築しながら顧客に知識やスキルを与え、市場を創造します。これを日本企業の途上国進出における戦略、強みとして欲しいものです。安倍首相をはじめ、日本政府も支援してくれるでしょう。
(参考)
www.mofa.go.jp/mofaj/files/000023954.pdf