変化に適応する会社:ウェイスト・マネジメント
チャールズ・ダーウィンが言ったとされる有名な言葉に、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」があります。企業にも同じことが言えるでしょう。
最近読んでいる「世界でいちばん大切にしたい会社(コンシャス・カンパニー)」にあるウェイスト・マネジメント社の事例が、変化への適応事例として興味深かったので、ご紹介します。
ウェイスト・マネジメントは、ゴミを処理する企業として1968年に設立されました。そして、国内各地のゴミ運搬業者を買収して、小さく分断していたゴミ回収ビジネスを「1つにまとめる」という戦略で成長しゴミ処理業界のリーダーとなりました。ウェイスト・マネジメントは、271箇所、40年分のゴミを埋め立てられるほどのゴミ廃棄場を保有しています。
しかし、近年、3Rなど環境に配慮する動きが広まり、消費者や企業は以前ほどゴミを捨てなくなっています。ウォルマートのように、廃棄場に送るゴミの量をゼロにすることを目標に掲げる企業も出てきています。
ウェイスト・マネジメントは、この変化を脅威ではなくビジネス機会と捉えました。ゴミを処理する会社から、「廃棄物から(エネルギーや資源などの)価値を引き出す革新的な方法を模索する会社になる」と企業の目的を再定義し、変化に適応することとしました。そして、ゴミを減らしたいと考える顧客向けにコンサルティング部門を設立し、自社のゴミ処理ビジネスの売上にマイナスとなるビジネスに取り組み始めました。設備投資資金をゴミ廃棄場から資源回収施設に振り向け、リサイクル可能な材料を分別する高度技術を備えた施設に作り変えています。「廃棄物をエネルギーに変える」プロジェクトの数は100を超え、クリーンエネルギーを110万世帯に供給するようになっています。
ウェイスト・マネジメントは、廃棄物を埋め立てる会社から、廃棄物を資源として価値を創出する会社に生まれ変わろうとしています。これは素晴らしい変化です。自社のリソースも活かしつつ、時代の流れに適応しています。企業には様々なステークホルダーがいるため、その利害を乗り越えて大きく変化するのは容易でないのですが、時代の変化に逆らうことは出来ません。長期的な成功のためには、リーダーは、時代の流れを読み、時代に適応したビジョンを掲げ、その実現に突き進まなければなりません。
(参考)
「世界でいちばん大切にしたい会社(コンシャス・カンパニー)」ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア著(翔泳社、2014年4月17日)