生産者・消費者・市民の意識を切り替える

2014-10-19 01:20 pm

前回、時間・空間・組織階層の視座を変えることの重要性について述べました。今回は、自らの意識を変えることについて述べます。

すべての人は、生産者、消費者、市民の3つの顔を持っています。通常は、それぞれの立場でいるときは、その立場の思考回路になりきっていると思いますが、ときには、生産者として活動しているときに消費者や市民の意識になってみるといったように、意識を切り替えてみることも大切です。そして、個人または組織として、生産者、消費者、市民として高い感度を持つが求められるようになっています。

生産者と消費者については、商品開発やサービス提供を行う生産者でいるときに、消費者の立場になって考えることは当然必要です。そのときには、消費者として高い感度を持っていることが重要でしょう。ただ、消費者の意識は多様ですので、組織としては、多様な消費者を内部に抱え、その消費者としての感性をうまく活かすことが必要です。これが、企業経営においてダイバーシティが求められている理由の1つです。例えば、消費者の大多数が女性である商品の開発は、女性の消費者としての意識を生かして行うべきでしょう。BtoB企業であっても、消費者としての感度が高いと、製品・サービスの最終的な提供価値への想像力が高まると思います。

一方、市民について、現在は、個人としても組織としても市民としての感度を高めることが求められている時代だと思います。安心・安全、環境、教育、福祉など、市民としての人々の生活に影響する様々な社会的課題が顕在化しています。市民としての感度を高めないと、こうした社会的課題に対応するため、政府を動かすことも、NPOなどの活動を広げることも、企業の活動を変えていくこともできません。

企業に対する社会的課題対応の要請は、強まる一方です。例えば、少子化への対応として、仕事と育児が両立できるように、ワークライフバランスへの要請が強まっています。このワークライフバランスについても、市民感度の低い社員ばかりだと、なかなか進まないでしょう。一方、多くの社員が市民として子育てに携わった経験を持っていれば、市民の意識に切り替えて、ワークライフバランスは当然のことと考えられるでしょう。

社会的課題を事業機会、競争力強化の機会と考えるCSVを進める場合には、生産者と市民としての意識を繰り返し切り替えることも必要でしょう。生産者にとっても市民にとっても高い価値を生み出すのが望ましいCSVです。高い市民感度を持ち、生産者と市民の意識を切り替えることにより、様々なCSVのアイデアが生まれるでしょう。社員の市民感度を高めることが、企業の競争力の源泉となる時代になっていると思います。

(参考ブログ)

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=835#.VEL3GFiCjIU

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=500#.VEL3M1iCjIU

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