社会貢献のフラッグシップ・プログラム

2015-04-06 09:17 am

自社のブランドの象徴となるような社会貢献プログラム(=フラッグシップ・プログラム)の実施を計画する企業が増えているようです。サステナビリティコンサルのCorporate Citizenshipが10カ国のグローバル企業103社に対して行なったサーベイによれば、 現在フラッグシップ・プログラムを実施しているのは12%だけですが、現在実施していない企業の70%は、今後2年間にフラッグシップ・プログラムを推進することを検討しています。

フラッグシップ・プログラムは、自社ビジネスの中核目的と整合する社会貢献活動に投入リソースを集中させて行うものです。具体的事例としては、シリアル大手のケロッグによる、朝食の提供を中心とした世界の子ども達の飢餓撲滅の支援、マイクロソフトによる、テクノロジーを通じた3億人の若者の雇用支援、ユニリーバによる、世界10億人の手洗い習慣の啓発などがあります。

サーベイでは、85%の回答者が、フラッグシップ・プログラムは、市民に愛され、ブランドを差別化するために重要な活動と考えています。また、90%の回答者が、社会的投資およびビジネス投資のROIを最大化するために有効な方法と考えています。Corporate Citizenshipは、このサーベイをもとにフラッグシップ・プログラムについて分析し、フラッグシップ・プログラムの5つの成功要因を導出しています。5つの成功要因とは、目的、スペース、リソース、インパクト、ストーリーです。

目的については、社内外のステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、フラッグシップ・プログラムで何を実現しようとするのか、自社にとってこのプログラムを実施することがどうして意味あることなのかを考え、目的、目標、価値を訴える対象を定めます。スペースについては、様々なESG課題の中からマテリアリティを特定し、社会と自社の両方に価値を生み出し、他社と差別化でき、自社がフォーカスすべき最適なニッチなスペースを見極めます。リソースについては、社内外で適切なパートナーシップを構築し、プログラムが継続的に価値を創出すために十分な財務、非財務のリソースを獲得します。インパクトについては、フラッグシップ・プログラムが価値を創出し続けられるよう、創出価値を評価し、マネジメントするために、インプット/アウトプット/インパクトを適切に測定するフレームワークを設定します。そして、プログラムが社会に認知され、価値を訴えるべき対象の心に響くよう、価値創造のストーリーを伝えます。

これらの成功要因や、既にフラッグシップ・プログラムを実施している企業の事例は、これからフラッグシップ・プログラムを実施しようとしている担当者にとっては、大いに参考になるでしょう。社会貢献もバラバラと行うのではなく、リソースを集中して戦略的に行うことが、社会にとっても、企業にとっても価値を生み出します。

(参考)

www.justmeans.com/article/the-next-big-trend-in-corporate-social-investment-is-emerging-flagship-programmes

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