コオロギの可能性

2015-07-06 09:21 am

クレアンが行うセミナーなどで行うサステナビリティ・クイズに、「ステーキ1枚(約200g)に必要な「水」の量は?」があります。答えは、4,000リットル(500mlペットボトル8,000本分)です。牛を育てるには、体重の10倍以上のトウモロコシ飼料が必要で、そのトウモロコシ1kgの生産に1,800~2000リットルの水必要で、トータルでは約2万倍近くの水が必要となります。

世界的に「水」問題が注目される中、牛肉生産における水消費や温室効果ガス排出なども課題として顕在化しつつあります。こうした動きの中、サステナブルな牛肉生産の認証制度なども始まっており、マクドナルドなどが取り入れることをコミットしています。

今後、気候変動や水などの環境問題が深刻化する一方、2050年までに世界人口がさらに20億人程度増えることが予想される中、現在の畜産とは異なる動物たんぱく質の調達も必要となってくるでしょう。

日本では、ジビエなども動物たんぱく質の原材料として魅力があります。飼料などにより人工的に育成する必要がなく環境負荷が少ない上、最近では、鹿などが増えすぎて、農作物の鳥獣被害が問題となっています。鹿肉などのジビエのバリューチェーンが構築され市場が創造されれば、社会問題の解決にもつながるCSVとなります。今のところ、ベッカースが期間限定で「信州ジビエ鹿肉バーガー」などを、CoCo壱番屋が「鹿カレー」を影提供していますが、大手食肉メーカーや流通企業がジビエのバリューチェーン構築に本格的に取り組み始めれば、この市場もすぐに立ち上がるでしょう。私が副理事長を勤めるCSV開発機構も、ジビエによるCSVに取り組んでいます。

世界的には、動物たんぱく質の原料として最近注目されているものに、「コオロギ」があります。コオロギは、100グラム当たり21グラムのたんぱく質を含み、牛肉や粉ミルクの26グラムと比べても遜色ありません。飼育に必要な飼料は、牛の体重を1グラム増やすのに8グラムが必要ですが、昆虫の場合は2グラム程度で、必要な水分も少なく、食物廃棄物などを簡単にエサにすることが出来ます。また、飼育に必要な期間も、数年が必要な牛に対して、コオロギは1ヶ月ほどで成長します。さらに言えば、イスラム教でもコオロギは食べても良い昆虫であるということです。

この新しい食材としてのコオロギの可能性に着目する起業家などが増えており、コオロギの飼育方法、コオロギの調理方法などが研究されています。すでに、米国では、コオロギが含まれる栄養補助食品やプロテインバーなどが登場しており、高タンパク・ビタミン・食物繊維・ミネラルが豊富で、栄養価が高い上、摂取した栄養の40%を体質量に変換できるということで、ダイエットや筋トレをしている人を中心に人気となっているということです。ニューヨークでは、コオロギバーガーも販売され、人気となっているようです。

今後、コオロギを本格的に普及させようとした場合、最大の課題は、「人々の意識」でしょう。コオロギを食べることには、最初はほとんどの人が抵抗感を持つでしょう。しかし、触ることを考えると、タコなどよりもコオロギのほうが、抵抗感がないのではないかと思いますので、コオロギを食べる習慣が広がるには、意外に時間がかからない可能性もあります。最近の例では、ミドリムシは食材としても受け入れられています。社会的課題に対応するために人々の意識を変えるマーケティングもCSVの重要要素です。CSV視点でコオロギビジネスなどにチャレンジする企業が、日本でも増えても良いのではないかと思います。

(参考)

tamenal.com/4352

www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H7F_Q5A530C1FFB000/

business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/062900013/?rt=nocnt

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