「農業による認知症ケア」とP-F-I創発

2015-07-30 09:18 am

今年のShared Value Summitの講演でマイケル・ポーター教授が、「CSVは市場を創造する新しい視点を提供する」と語っていました。私も、CSVは、ブルーオーシャン発見の指針になると考えています。また、「ブルーオーシャン戦略」では、ブルーオーシャン発見のアプローチの一つとして、「ほかの産業から学ぶ」が挙げられていますが、CSVもほかの産業から多くを学ぶことができます。

www.alterna.co.jp/13443

最近面白いと思った社会的課題への取り組みとして、オランダで広がっている「農業による認知症ケア」があります。野菜や果物の農場、牛や羊を飼う畜産農家などが、認知症高齢者を受け入れ、緑豊かな自然の環境で共に過ごし、いろいろな農作業を支援してもらうことを通じて、認知症の進行を遅らせることができ、認知症高齢者が施設に入らなくても日々の生活を送れるようにするというものです。

認知症患者にとっては、「太陽の下、活発に体を動かすこと」「動物や自然と触れ合うこと」「人と一緒に活動し頼りにされること」「ほぼ毎日、同じ時間に同じことをする」ことが大事ですが、農場は、そのような場を提供しています。一方で、農業人口が減りつつあるオランダにとって、この取り組みは、農業の新しい価値創造につながります。

「農業による認知症ケア」が面白いのは、農業の農作物の生産以外の機能に着目し、それを認知症という社会的課題と結び付けているところです。製品・サービスのCSVを考える場合、製品や技術の機能を幅広く考え、その機能と様々な社会的課題との結びつけを網羅的に考える方法があります。方法論としては、Product-Function-Issue(=P-F-I)創発と言います。農業の機能として、「体を動かす機会の提供」「自然と触れ合う機会の提供」などがありますが、社会的課題を網羅的に考えれば、そうした機能と「認知症ケア」を結びつけることは、それほど難しいことではありません。

ナイキがシューズには、足を保護することやファッションだけでなく、人々にエクササイズ促す機能があると考え、それを健康増進と結び付けているのも、PFI創発と言えます。ナイキは、最近では健康増進を企業の目的の中心に据え、ウェアラブル健康機器や健康増進サービスを提供しています。自社の製品・サービスの機能を幅広く捉え、それと社会的課題を網羅的に結びつけることで、ビジネスの可能性が広がることは、間違いないでしょう。

(参考)

diamond.jp/articles/-/74556

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.