「サーキュラー・エコノミー」とCSV

2015-09-10 09:02 am

以前、サーキュラー・エコノミーについて紹介しました。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1866#.VeKJxViCjIU

サーキュラー・エコノミーは、従来の3R(reduce, reuse, recycle)と同じようなものと理解されている方もいるかも知れませんが、原材料の再生可能資源での代替、アップサイクル、製品寿命の延長、製品のサービス化、シェア・サービスなど幅広い取り組みを包含する広い概念です。

社会課題への取り組みを考えるにあたり、社会課題をツリー構造化して整理することが有効ですが、サーキュラー・エコノミーは、「環境問題への対応」⇒「環境負荷軽減」⇒「資源の有効利用」⇒「3R」といった階層構造において、「資源の有効利用」のレイヤーでの対応を包括するもので、3Rより1段高いレイヤーで、幅広く取り組みを推進するものです。

サーキュラー・エコノミーの基本は、「バージン原料への依存を減らし、経済成長と資源制約を切り離す」ことです。サーキュラー・エコノミーは、環境問題への対応の観点だけでなく、サプライチェーンにおける資源調達リスク、原材料価格の高騰・不安定化、廃棄物規制の増加、コスト削減、資源の有効利用による利益の創出など、経営的な観点からも注目されています。原材料コスト削減、廃棄コスト削減だけでも、財務的に年間1兆ドルのポテンシャルを持つと言われています。環境価値と財務価値を共創する大きなポテンシャルを持つサーキュラー・エコノミーは、CSVと親和性が高い取り組みと言えるでしょう。

サーキュラー・エコノミーのCSVを考える場合、まず、自社と資源との関わりを経営視点、環境視点で幅広く整理します。そして、統体的な思考から、固定観念を排除し具体的なソリューションを考え尽くします。例えば、自動車メーカーであれば、自動車の製造を減らし、新しい輸送システムから収益を得ることも含め、検討すべきでしょう。

最近は、サーキュラー・エコノミーがビジネスとして注目されていることもあり、以前ご紹介したアクセンチュアの5つのビジネスモデルやマッキンゼーの6つのビジネスモデルで構成される”REsolve”フレームワーク(Regenerate, Share, Optimise, Loop, Virtualise, Exchange)など、戦略コンサルからもサーキュラー・エコノミー・ビジネスのパターンが提唱されています。こうしたフレームワークなども、CSV検討の参考になるでしょう。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1871#.VeKJ1ViCjIU

サーキュラー・エコノミーのCSVを推進するには、行政や他企業と連携して仕組みを作ることが必要な場合もあります。以前ご紹介した“クローズド・ループ・ファンド”などは、そうした取り組みです。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1512#.Veun21iCjIV

サーキュラー・エコノミーのCSVは、大きなポテンシャルを持っています。自社だけで比較的容易に取り組めるものから、行政や他社との連携による仕組み作りが必要なものまでいろいろですが、多くの企業で考えてもらいたいCSVです。

(参考)

www.greenbiz.com/article/defining-circular-economy-beyond-recycling-material-reuse

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