パリ協定が創る市場機会

2016-04-25 08:22 am

パリ協定の署名式が4月22日に開かれ、175ヵ国・地域が署名しました。今回の署名は、協定内容に同意するという意志表示で、パリ協定の発効には、今後、温室効果ガスの排出量の55%を占める、少なくとも55ヵ国以上の批准が必要となります。世界最大の排出国である中国は批准に前向きのようですが、第2位の米国は、大統領選の結果次第では、枠組みに参加しない可能性があると考えられています。ここはしっかり注視していく必要があります。

パリ協定は、産業革命前からの世界の気温上昇を2℃未満とすることを目的とし、各国に1.5℃以内に抑えるよう努力することを求めています。今世紀後半に温室効果ガスの排出量と吸収分を相殺してゼロにすることも求めています。また、途上国を含むすべての国に自主的な削減目標を掲げ、5年ごとに見直すことを求めています。

このパリ協定は、ビジネスにとって大きな機会を提供すると考えられています。中国は、2030年までにGDP当たりのCO2排出量を2005年比で60-65%削減し、20%の非化石燃料の割合を20%とすることとしています。このためには、現在の米国の全発電量に相当する再生可能エネルギーの追加が必要です。米国は、2025年に2005年比で26-28%のCO2排出削減を、EUは、2030年までに1990年比で40%のCO2排出削減を目標としています。インドは、2030年までにGDP当たりCO2排出量を2005年比で33-35%削減し、非化石燃料による発電を40%とすることとしています。これら上位4つの国・地域で、世界のCO2排出の50%以上を占めます。

こうした各国のCO2排出削減の動きなどにより、エネルギー分野だけで、2030年までに最低13.5兆ドルの市場機会が生まれると見積もられています。また、CO2排出削減のためのグローバルでのインフラ投資などにより、全体として90兆ドルの事業機会が生まれる可能性があるとされています。

まず、市場が成長すると想定されるのは、CO2排出削減に向けた、ビルのエネルギー効率向上、デマンド・エネルギー・マネジメント、低炭素または電気自動車、ソーラー、風力、水力、地熱などの再生可能エネルギー、水や廃棄物のマネジメントなどです。すでにクリーン・エネルギーの市場は、経済全体よりも早く成長しており、途上国で新しい市場が生まれると想定されています。一方、こうした気候変動の緩和に向けた市場に比べ、気候変動への適応のほうは、市場の立ち上がりに少し時間がかかると想定されています。

また、ビジネスのあり方自体についても、気候変動の影響および気候変動に向けた世界の動きに適切に対応していく必要があります。感度の高いグローバル企業は、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す企業連合「RE100」に代表される再生可能エネルギーへの積極投資、カーボン・プライスの導入、サイエンスベースのCO2排出削減の目標設定などの対応を進めています。こうした動きも様々な市場機会を提供するでしょう。

こうした気候変動に関連する市場をうまく捉えるには、長期的な視座や政策動向への感度が欠かせませんが、CSVの機会として、見逃せないものであることは、間違いありません。

(参考)

www.justmeans.com/blogs/we-mean-business-highlights-post-paris-opportunities

THE PARIS AGREEMENT-What It Means for Business by WE MEAN BUSINESS

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