CSVにより独占を目指し、独占によりCSVを生み出す

2016-07-19 11:21 am

オンライン決済サービスPaypalを創業し、シリコンバレーの投資家としても有名なピーター・ティール氏の「ZERO to ONE」は、非常に示唆に富んだ本です。スタンフォード大学の起業講義録をベースにしていますが、ビジネスにおける価値創造のために重要な視点をいくつも提示しています。

「ZERO to ONE」でピーター・ティール氏は、独占の重要性を強調しています。航空会社とグーグルを対比して、「競争はすべきでない」「他で替えがきかない独占企業になるべき」としています。そして、個々の企業にとって独占で利益を獲得することが重要なだけでなく、社会全体にとっても、独占は進歩の原動力、より良い社会を作る原動力になるとしています。独占こそが、長期計画を立てる余裕と、長期的な研究開発を支える資金によるイノベーションを生み出すという考え方です。一般の経済学の、競争が進歩を生み独占は進歩を阻害するという考えと逆ですが、今の時代の現実を見ると、ピーター・ティール氏の考えのほうが真実のように思います。

「社会と起業の両方に価値を生み出す」CSVも、独占企業のほうが推進しやすいでしょう。ピーター・ティール氏は、グーグルについて、「グーグルのような独占企業は、ライバルを気にすることがないため、社員やプロダクトや広い社会への影響を考える余裕がある。グーグルが「邪悪になるな」というモットーを掲げているのは、ブランディングの一種であると同時に、潰れることなど考えずに倫理について真剣に考える余裕があるという証しだ。」としています。そして、「独占企業は金儲け以外のことを考える余裕がある。非独占企業にその余裕はない。完全競争下の企業は目先の利益を追うのに精一杯で、長期的な未来に備える余裕はない。」としています。

マイケル・ポーター教授も戦略における「ユニークネス」の重要性を強調していますが、ユニークネスを追求すること、他社と違う選択をすることは、独占企業を目指す第1歩となるでしょう。マイケル・ポーター教授は、また、CSV/シェアード・バリューが、ユニークネスを追求する新たな視点を提供するとしています。CSVが独占企業を目指す第1歩になる可能性もあります。

ピーター・ティール氏は、独占企業を目指すには、「小さな市場から始めるべき」としています。まず、ライバルのいない小さな市場を支配し、関連する市場へと徐々に拡大していくべきとしています。これは、スタートアップ向けの示唆ですが、既存企業にも当て嵌まるでしょう。特に、CSVであれば、既存企業でも、小さな市場から始めることがやりやすいでしょう。CSV視点で独占を目指し、独占企業となることにより、さらに社会に価値を生み出すイノベーションを創出する、そうした循環が生まれることを期待したいですね。

(参考)
「ZERO to ONE」ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ著(NHK出版、2014年)

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.