GPIFとESGとCSV

2016-07-25 08:00 am

世界最大の機関投資家と言われる厚生年金・国民年金を管理・運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を本格化しようとしているようです。先日9月末までの応募期限で、国内株式を対象とした環境・社会・ガバナンス指数の公募を始めました。早ければ、年度内にも投資を始めるようです。

GPIFは、ESG投資を実施する狙いとして、「GPIFのようなユニバーサル・オーナー(広範なポートフォリオを持つ大規模な投資家)にとって、環境や社会の問題などネガティブな外部性を最小化することを通じ、ポートフォリオの長期的なリターンの最大化を目指すことは合理的である。また、環境・社会・ガバナンス(以下ESG)の要素を投資に考慮することで期待されるリスク低減効果については、投資期間が長期であればあるほど、リスク調整後のリターンを改善する効果が期待され、当法人が投資にESGの要素を考慮することの意義は大きい。」としています。どちからというと、ネガティブ要因の低減といった意図が強いようです。

いずれにせよ、投資家が企業をESG観点で評価するという流れが今後強まりそうです。機会・リスクの観点から企業経営とESGにどのような関連性があるか、ESGで企業価値を向上するにはどうすれば良いかを検討し、それをしっかり情報開示していく必要があるでしょう。具体的には、GPIFがESG要素の例として挙げている「パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)など、持続可能な社会構築等を目的とした国際協調に資する要素」「Eに関する要素:地球温暖化、エネルギー効率、水資源、生物多様性 等」「Sに関する要素:女性の活躍、従業員の健康 等」「Gに関する要素:取締役の構成、公正な競争、汚職 等」などに関し、経営への影響度を含めて、自社の現状を整理し、必要な対応をとっていく必要があるでしょう。

こうしたESGの取り組みを通じた企業価値向上にあたっては、CSVの考え方は有効でしょう。長期的な社会価値向上に対するコミットメントを中心とした「コーポレート戦略CSV」は、長期的なESGに対する方向性、コミットメントを通じて、GPIFのような長期投資化にとっては、安心感を与えることになるでしょう。また、「ビジネス戦略CSV」のバリューチェーンCSVやビジネス環境CSVの観点からの、バリューチェーンと社会・環境問題との相互依存関係(+-の影響と依存)の整理とそれに基づく施策は、リスクの低減だけでなく、機会の把握とCSVの実践を通じた企業価値の向上につながります。
www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2099#.V5QoNaTr3IU

CSVの視点でESGの取り組みを行い、それを統合報告書やESGアナリストミーティングなどで適切に情報発信することの重要性は、これから益々高まるでしょう。個人的には、こうしたESG投資の流れが表面的なものに留まらず、本格的な企業の社会・環境問題への対応、企業価値と社会価値の統合につながっていくことを期待したいと思います。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。
csv-jp.org/related_info.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.