2つのアウトサイド・イン

2016-07-28 08:47 am

最近、SDGsを推進しようとしている人たちから「アウトサイド・イン」という言葉が良く聞かれます。企業がSDGsを経営戦略と統合させるためのツールであるSDGコンパスで、企業がSDGsへの取り組みに関する目標を設定するにあたり、世界的・社会的ニーズから目指すべき目標を設定するアウトサイド・イン・アプローチへの期待が示されていることがその背景にあります。
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アウトサイド・イン・アプローチについて、SDGコンパスでは、「世界的な視点から、何が必要かについて外部から検討し、それに基づいて目標を設定することにより、企業は現状の達成度と求められる達成度のギャップを埋めていく。」と説明されています。SDGs実現のためには、SDGsという外部の目標をもとに、企業が長期目標を設定することが望ましいという期待の表れです。SDGコンパスでは、「リーディング企業は、目標設定においてアウトサイド・インのアプローチを取り始めている。」「アウトサイド・インのアプローチは、今後、持続可能性における企業のリーダーシップを規定していく一つの要因となる。」としています。

CSVでは、この「アウトサイド・イン」という言葉を少し異なる意味合いで使ってきました。企業活動と社会・環境問題の相互影響関係において、企業活動が社会・環境に及ぼす影響を「インサイド・アウト」、社会・環境が企業活動に及ぼす影響を「アウトサイド・イン」としいています。CSVのアプローチの一つである「ビジネス環境のCSV」は、外部のビジネス環境が企業活動に及ぼす影響に着目しており、基本的に「アウトサイド・イン」の考え方に基づいています。
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社会・環境問題やそれを巡る政策・NGOなどの動きが企業活動に及ぼす影響は、大きくなっています。そうした動きの中で、CSVで使ってきた「アウトサイド・イン」の視点は、不可欠でしょう。アウトサイド・インの影響を見据えつつ、適切な対応、適切な戦略策定を行っていく必要があります。

また、SDGコンパスでいう長期目標設定におけるアウトサイド・インの視点も必要だと思います。気候変動への対応などに関して長期目標を掲げる企業が増えていますが、長期目標設定にあたっては、パリ協定で合意された「今世紀後半に、世界全体の温室効果ガス排出量を、生態系が吸収できる範囲に収める(人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にはゼロにする)」などの目標は、考慮せざるを得ません。多くの企業にとっては、かなりのストレッチ目標になると思いますが、それがこれからの世界で求められるイノベーションの創出にもつながります。また、アウトサイド・インで将来の世界をイメージし、その中での自社の役割、あるべき姿を考えることも重要だと思います。こうした長期目標を設定し真摯に追求する企業は、世界の動き(CSVでいうアウトサイド・イン)に適合し、将来的な成功を収める可能性が高いと考えます。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。
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