顧客のバリューチェーンに入り込むサーキュラー企業

2016-08-18 09:23 am

株式会社ナカダイの中台常務のインタビュー記事によれば、これまで廃棄物を引き取って処理していた産廃業者は、廃棄物を高価値の製品に変える取り組みを進め、産業のフロントラインに事業領域を拡張しようとしているようです。これは、最近のサーキュラー・エコノミーの流れの沿ったものと言えます。

産廃業は、廃棄物を引き取る代わりに処理費を得る、基本的にゴミをたくさん集めれば集めた分だけ、利益は増える事業です。しかし、中台常務は、あるとき「おれの仕事は、ただゴミを大量に集めるだけでいいのか」と思い、「“素材を生産する会社”になろう」と決めたそうです。まさに、サーキュラー企業への目覚めです。

しかし、廃棄物を高価値の製品に変えようとする場合、ゴミの分別という問題に突き当たります。中台常務は、ゴミの分別問題に対し、製品が生まれる際に何を使うのか、産廃業者でありながら、その選定の段階にまでコミットすることで、廃棄後に行う素材の分別作業そのものを不要にしようとしています。これが実現すれば、廃棄物を新たな製品へとつくり変える行程はよりスムーズになります。

具体的には、同じプラスチックでも、ポリプロピレンとポリエチレンという類似素材がありますが、このふたつを分別しない場合は、“プラスチック”というひとまとめの素材として加工することになります。それを(石炭などの)代替燃料として売却したら、1トン2、3000円ほどなのに対し、ポリエチレンの樹脂なら5万円ほどになります。このように廃棄物を細かく分別することで価値ある素材に返還することができます。

この細かい分別を実現するため、顧客の生産ラインに入り込み、適切な場所に適切なゴミ袋を設置しています。鉄なら鉄、ポリエチレンならポリエチレンを加工するラインで、それぞれにゴミ袋を分けておけば、異素材が混ざることはなく、取引先の企業も産廃業者も分別の手間がなくなります。多くの取引先の生産ラインに入り込むことにより、クオリティーの高い廃棄物を大量に集めようとしています。

中台常務は、また、分別の重要性を浸透させるため、日々、工場に運び込まれる廃棄物をどのように処理、再生するかを垣間みせる工場見学ツアーの実施や、産廃物をそれぞれの素材に戻し、常時400種類を展示・販売する「モノ:ファクトリー」の運営やワークショップといった、啓蒙活動も積極的に行っています。

ナカダイの顧客のバリューチェーンに入り込むというやり方は、サーキュラー・エコノミーにおいて非常に有効な戦略のように思えます。

(参考)

wired.jp/series/wired-audi-innovation-award/21_sumiyuki-nakadai/

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