フォーチュン”Change the World List”からの学び

2016-08-25 08:55 am

前回ご紹介し’Change the World’ Listに関して、CSVの提唱者であるマイケル・ポーター、マーク・クラマー両氏が、「フォーチュン’Change the World’ Listからの学び」という記事を書いています。概要は、以下のとおりです。

今年の’Change the World List’が示すように、より多くの企業リーダーが世界における企業の役割をより広く考えるようになり、より多くのマネージャーが、自社のミッションに基づき社会ニーズを企業戦略に統合するようになっている。我々がCSVと呼ぶこのアプローチは、ビジネスのメインストリームとなり、指数関数的に広がっている。シェアード・バリュー思考を持つ企業は、フィランソロピーやCSRへのコミットは継続しつつ、明確なソーシャル・インパクトを競争戦略の中心に据えている。この変化は、いくつかの面で健在化している。

最初に、企業がソーシャル・インパクトへの取り組みの対象を、パイロットプロジェクトや二次的な市場から自社のコア市場や戦略にシフトしている。シェアード・バリュー思考が戦略の根本的変化と業界の構造的変化を起こしている事例が増えている。例えば、ネスレは、臨床研究で開発した疾病専用の栄養製品から食品と医薬品の融合製品を創造している。これにより、ネスレは、競合と差別化し、新しい成長と利益の道を切り拓いている。

次に、ソーシャル・インパクトの要請の拡大に伴い、多くの企業が自社の“パーパス”を再発明している。企業は、自社を製品やサービスの観点ではなく、製品やサービスが対応する社会ニーズのレンズで見るようになっている。パーパスへのコミットメントが実質的なものではなくPRとなっている企業もあるが、ビジネスと社会の関係を深く理解しパーパスに反映する企業も増えている。説得力のあるパーパスを持つ企業は、優秀な人材を惹きつけ、イノベーションが促進されている。例えば、シュナイダー・エレクトリックは、環境面で安全なエネルギーを真摯に追求することで、顧客のエネルギー利用とカーボンフットプリントを削減する製品・サービスを継続的に発明し、成長を続けている。

また、企業がソーシャル・インパクトを追求するようになることで、企業とNGOの関係も変化している。より多くのNGOが企業をアタックするのではなく、ミッションを共有して協働するようになり、企業もNGOをビジネスパートナーと捉えるようになっている。例えば、グラクソスミスクラインは、セーブ・ザ・チルドレンと協働し、途上国の新生児の命を奪う臍帯からの感染を防止する低価格の殺菌ジェルを開発している。国連や世界銀行などの国際機関やビル&メリンダ・ゲイツ財団やロックフェラー財団なども、従来の政府や市民セクターだけでなく、シェアード・バリューの考えを持ち社会的課題に取り組む企業を対象としたプログラムを設計している。

最後に、投資コミュニティがシェアード・バリューを理解し始めている。これまで投資家は、社会側面の投資における有効性にずっと懐疑的だったが、シェアード・バリュー戦略は、従来の社会的責任プログラムや単なるPRとは全く異なるものだと認識し始めている。新しいパーパスにコミットする企業は、株主に大きなリターンをもたらすことができる。CVSヘルスがパーパスを「利便性の高い流通」から「健康の増進」に変えることで、株価は競合のウォルグリーンと比べ大きく上昇している。CSVは、「健康」の企業としてタバコの販売を止め20億ドルの売り上げを失ったが、新しいビジネス機会と従業員のモチベーションがそれ以上の価値を生み出している。投資家は、シェアード・バリューを考慮した投資が通常の投資のパフォーマンスを上回ることに気づき始めている。

これらの動きにより、CSVはメインストリームのマネジメントの考えになりつつある。グローバルで500の大学がカリキュラムにシェアード・バリューのコンセプトを取り入れている。ハーバード・ビジネス・スクールは、今秋に最初のCSVに関するMBAコースを立ち上げる。企業戦略にソーシャル・インパクトを統合することは、競争優位を実現する次世代の考えであることが、明らかになってきている。

(参考)

fortune.com/2016/08/18/change-the-world-essay/

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