CSVイノベーション、マーケティング力を強化するには

2016-11-17 09:32 pm

CSVの基本は、製品・サービス、バリューチェーン、ビジネス環境の3つのアプローチであることは、これまでの繰り返し述べています。P.F.ドラッカーが、企業の基本的機能は、イノベーションとマーケティングの2つだとしていますが、製品・サービスのCSVは、イノベーション、ビジネス環境のCSVは、マーケティングに該当します。バリューチェーンのCSVは、イノベーションをプロダクト・イノベーションとプロセス・イノベーションに分けるとすると、プロセス・イノベーションに該当するので、イノベーションに含まれるでしょう。

製品・サービスのCSVは、社会に価値を生み、ビジネス的にも正当化されるイノベーションを創出するものです。企業が行うソーシャル・イノベーションと言ってもいいかも知れませんが、ソーシャル・イノベーションは社会価値重視のニュアンスがある一方、CSVは、社会価値と企業価値との両立、それによるインパクトの拡大再生産を目指しています。個人的には、製品・サービスのCSVの基本は、社会課題×解決策×それを実現するビジネスモデルなので、「社会課題解決イノベーション」と呼ぶのが良いかと考えています。

社会課題解決イノベーションに対して、日本企業の多くは、テクノロジーを中心として解決策に関する知見は豊富にありますが、社会課題とビジネスモデルに関する知見はもっと広げる必要があるように思います。このうち、組織としての社会課題に関する知見を広げる、社会感度を高めるところは、CSR部門などが貢献できるところです。SDGsなどは良い機会ですので、専門家との対話、社会問題の現状共有と自社で何が出来るかのワークショップ、社会貢献活動への社員参加などを通じて、社員と組織の社会感度を高められます。ビジネスモデルについては、戦略的社会貢献活動の位置づけでも良いので、自社の象徴的活動、フラッグシップとなるプロジェクトを立ち上げ、そこで政府、NGOや財団との協働など、CSVならではのビジネスモデルについての知見を広げることが考えられます。

バリューチェーンのCSVは、社会課題と経営課題が交わるところで、両方の課題の同時解決策を模索するものです。ネスレの原材料農家支援は、途上国農家の低生産性、貧困といった社会課題と自社が必要とする品質の原材料の長期安定調達という経営課題を同時解決する取り組みとして進められています。バリューチェーンのCSVを促進するには、自社バリューチェーンと様々な社会課題との相互影響、関係性を把握しておくことが重要です。こうした取り組みについても、CSR部門などがイニチアチブを取ることができるでしょう。

ビジネス環境のCSVは、社会に価値を生み出す製品・サービスの市場を創造するための、消費者啓発、ルールメイキングなどが中心となります。これもソーシャル・マーケティングと言ってもいいかも知れませんが、ソーシャル・イノベーションと同様の理由で、個人的には区別しようと考えています。あえて言葉を使うとすれば、「CSVマーケティング」で良いかなと思っています。

CSVマーケティングを推進するためには、多様なCSVマーケティングのパターンをまず理解しておくことが必要です。これは、レクチャーなどで理解することができるでしょう。また、実際のCSVマーケティング推進のためには、様々なステークホルダーとの協働が必要になりますが、前述のフラッグシップ・プロジェクトやIBMのコーポレート・サービス・コーのような社会課題に取り組む人材育成プログラムを通じて、ステークホルダーとの関係を構築しておくことが考えられます。

こうして考えると、社会課題と経営の統合に向けて、CSR部門などには、新しい役割が求められているように思います。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

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