ビールとエネルギーと「素材の使い尽くし」の可能性

2016-12-21 08:13 pm

食品企業のサーキュラーエコノミーに向けた動きの一つに「素材の使い尽くし」があります。伊藤園のお茶の製造工程で排出する茶殻を紙製品や樹脂製品などの原料として再利用する「茶殻リサイクルシステム」、味の素のアミノ酸の生産工程の副産物をもう一つの製品=Co-Products(コプロ)として位置づけて再利用する取り組みなど、日本企業もいろいろと工夫しています。

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しかし、この「素材の使い尽くし」は、まだまだ可能性がありそうです。WIREDの記事によれば、コロラド大学の研究者たちが、ビールの廃水からリチウムイオン電池に利用できる材料開発を行っているとのことです。ビールの醸造工程からの廃水を利用してマッシュルームに似た菌類を育て、高温で加熱することで、リチウムイオン電池に利用可能な電極の素材を生成しようとしているそうです。

私は良く講演などで「ステーキ1枚(約200g)に必要な「水」の量は?」(答:4,000リットル)といったクイズを出し、参考資料で、自動車1台の生産には65,000リットル、ビール1缶(350ml)の生産には2.1リットル(6倍)の水を使っていると説明しています。WIREDの記事ではビール製造において約7倍の量の水が廃棄されているとしていますが、この大量の廃水を、浄化等のプロセスなしにそのまま再利用し、しかもエネルギー問題の解決に貢献するリチウムイオン電池の素材に活用するというのは、素晴らしい取り組みです。

サステナビリティの仕事をしていると、キリンの「一番搾り」について、「二番搾り以降の麦汁はどうしているのか?」と気になってしまいます。実際には、麦汁の搾り粕を牛の飼料やキノコの培地などにしているようですが、これも幅広い用途に使える可能性があるかも知れません。

ビール会社の人たちだけで、ビールの醸造工程の廃水の再利用の用途を考えていても、リチウムイオン電池の電極材料というアイデアは、なかなか出てこないでしょう。ここは、オープンイノベーションが必要です。伊藤園の茶殻リサイクルシステムでは、協力会社との共同開発を進めており、業種を問わず茶殻を使いたいという問い合わせが沢山来ているそうです。「素材の使い尽くし」のオープンイノベーションは、もっと進めるべきだと思いますが、マッチングのためのプラットフォームなども必要かも知れません。

(参考)

wired.jp/2016/12/11/more-beer/

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