虎屋に見るステークホルダーに真摯に向き合う持続可能経営

2017-01-26 11:48 am

前回は、グローバル企業のダノンの「持続可能経営」について書きました。持続可能な経営ということでは、世界的に長寿企業の多い日本企業は、その伝統を持っているはずです。今回は、室町時代に京都で創業して以来、約500年にわたり和菓子をつくり続けている虎屋の経営から、持続可能経営の真髄を考えてみます。そのカギは、「ステークホルダーと真摯に向き合う」ことにあります。

虎屋は、「おいしい和菓子を喜んで召し上がっていただく」というシンプルな経営理念を掲げています。シンプルにしているのは、誰でも覚えられるものにして、社員全員に真の意味で共有してほしいという考えからです。

虎屋では、和菓子に関わる技術や品質などの分野において、専門性を高め、極めた指導者を「最高技術者」としています。現在は1名しかいない最高技術者に、「おいしい和菓子をつくるために最も大切なものは何か」と聞くと、躊躇なく原材料だと答えるそうです。最良の原材料を安定的に確保することは、「おいしい和菓子」の生命線なのです。そのため、虎屋では、原材料をつくる生産者と真摯に向き合っています。

昭和初期から、栽培の難しい白小豆の契約栽培体制を取り、産地で社員の原材料体験研修を実施しています。社員が実際に作業を体験しながら、生産者の人たちと会話を重ねることで、苦労を知ることができます。また、生産者の方には、虎屋の理念を繰り返し伝えています。虎屋が使って欲しくない農薬があるときなどは、それが生産者にとって作業を効率的にするうえで有効なものでも、真摯な話し合いをして、問題を乗り越えているそうです。こうして、虎屋と生産者の間には、長期的な信頼関係が構築されています。

お客様にも真摯に向き合っています。現在虎屋は、「高齢者を大切にする企業」になることに注力していますが、そのために専門家から学ぶとともに、高齢者の方向けに丁寧なサービスをしています。例えば、高齢者が小銭を出したいのに、手先の動きがままならないこと、店内の照明のため硬貨の判別がしにくいこと、後のお客様を待たせたくないことからお札を出してしまうということを理解し、「どうぞごゆっくり、小銭をお出し下さい」「差し支えなければ、私に数えさせてくださいませんか」と対応するようなことをしています。

社員とも、変えてほしくない「芯」と考える、「全力を尽くして、誠実に事に当たってほしい」ということを、社長がなるだけ多く社員と話をする時間をつくり、伝えています。

こうした「ステークホルダーに対する真摯な対応」が、守るべきもの、変えるべきものを本質的に理解することにつながり、持続的な経営を可能としていると思います。

(参考)
黒川光博虎屋代表取締役社長インタビュー「伝統より「いま」と向き合う」DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017年2月号

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