CSVのレジティマシー

2017-04-20 07:00 am

前回「エコシステムのCSV」に関する記事を書きました。ビジネスエコシステムと言うと、政府や市民セクターも巻き込むCSVとしては、少し限定的なイメージがあるので、私は今のところ「ビジネス環境のCSV」という言葉を使っているのですが、このビジネス環境/エコシステムのCSVの参考となる経営理論が、「組織エコロジー理論」です。企業を大きな社会システムの一員と見なし、生態学の知見を応用する理論の一つです。

この組織エコロジー理論で重要なのが、「レジティマシー」です。レジティマシーとは、「社会的正当性」「特定の商習慣・ビジネス手法・商品・サービスなどを多くの人が使い始めると、根拠が弱くでもそれが社会で「正当・常識」とされ、全員がそれを使うようになる傾向」(DHBR世界標準の経営理論第30・32回)のことです。企業は、自社の戦略に対するレジティマシーを高めることで、成功確率を高めることができます。

ビジネス環境/エコシステムのCSVで、社会課題を解決する製品・サービスが受け入れられるよう消費者の意識を変えるべく啓発活動をする、社会課題を解決する製品・サービスが広まるよう政府やNGOなどと協働して認証制度などの仕組みを構築することなどは、CSVのレジティマシーを高めるための活動と言えます。

こうしたCSVに見られる「能動的に社会的なレジティマシーを高める手段」は、「コレクティブ・アイデンティティ」と呼ばれ、経営学でも研究が進められています。近年の研究では、コレクティブ・アイデンティティを高めるために、「先導するイノベーターが、一貫した成長ストーリーを繰り返し周囲に語り続けること」が重要とされています。ユニリーバのポール・ポールマン氏が、「サステナビリティに本気で取り組む企業が、長期的に成長する」と語り続けているのは、CSVのコレクティブ・インパクトを高めていると言えるでしょう。

今のところ、CSVは事例が先行しており、経営理論というよりは経営フレームワークという位置づけです。一方で、組織エコロジー理論などの経営理論は、CSVの理論的バックボーンになるものだと思います。理論的バックボーンが強化され、CSVで成功する企業が増えるなどのファクトが認知されるようになれば、CSVのレジティマシーが高まっていくでしょう。

組織エコロジー理論では、「企業の場合、レジティマシー獲得に必要なのは、再生産可能性(reporoducebility)と説明責任・透明性(accountability)である」とされています。CSVに一貫性を持って取り組み、その内容と成果をしっかり開示していくことが重要です。CSVのレジティマシーを高めることは、チャレンジではありますが、社会にとって必要であり、社会の長期トレンドに合致していると信じます。経営理論も参考にしながら、そうしたCSVの取り組みを促進していきたいと思います。

(参考)
「世界標準の経営理論第32回組織エコロジー理論」(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2017.5月号)

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

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