再配達への社会の意識変化と社会貢献型商品拡大の戦略

2017-04-27 08:53 am

今年2月に、インターネット通販の拡大等の影響でドライバー等の長時間労働が常態化していることを受けて、ヤマト運輸が宅配の総量を抑制すると報道されて以降、「再配達」の問題が注目されています。宅配便の取り扱い個数が最高を更新する中、再配達の割合が2割にのぼり、ドライバー等の負荷の大きな原因の一つとなっています。

この再配達問題が注目されるようになって以降、宅配ボックスの受注が急増しています。LIXILの宅配ボックス「リンクスボックス」は、スマホや屋内外のカメラと連動して、スマホに荷物の受け取り通知が届いたり、荷物の届いた様子をカメラで撮影したりできるものですが、3月は2月のおよそ2倍、4月は3月の2倍程度と、出荷台数が大きく伸びています。

5万円以上する宅配ボックスを、「再配達してもらうのは悪いから」という社会貢献意識で多くの消費者が購入するようになっているとすると、これは面白い動きです。「社会貢献型の製品は、儲からない」という意見もありますが、セールスドライバーの負荷を軽減するために、消費者がかなりの費用を支払うようになっているとすると、社会貢献型商品には十分ポテンシャルがあるということになります。

セブン&アイ・ホールディングスが展開するネット通販「オムニ7」では、最近、利用者が商品を自宅に届けるより、コンビニで受け取る傾向が強まっているとのことです。セブン-イレブン・ジャパンでは、「コンビニで荷物を受け取る方が、社会に貢献できるんじゃないか。お客様にこういう心理が働いている」と見ています。少々利便性を犠牲にしても、再配達問題の解決に貢献しようという人が増えているとすれば、これも社会貢献型の商品・サービスの可能性を感じさせる動きです。

宅配ボックスについては、パナソニックが20年以上前から販売していますが、これまではなかなか市場が広がりませんでした。しかし最近は、受注の急増で新製品の販売を延期せざるを得ない状況になっています。パナソニックとしては、再配達の削減がCO2排出を削減するという面でもアピールを強化しようとしていましたが、グローバルな環境問題よりも、セールスドライバーの負荷軽減のように身近に感じられることに対するほうが、消費者の感度は高いようです。

なお、今回の宅配ボックスのように市場が急激に立ち上がるきっかけとなる出来事を「フォーカシング・イベント」と言います。宅配ボックスについては、ヤマト運輸が宅配の総量を抑制するという報道が、フォーカシング・イベントとなりました。フォーカシング・イベントは、予期せず起こることも多いのですが、今回のヤマト運輸の報道のようなものは、予め予想できますし、場合によってはコントロールもできます。

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世の中のトレンドや消費者の意識を理解しつつ、フォーカシング・イベントなどもうまく利用すれば、社会貢献型商品の販売を拡大する新しい戦略が描けそうな気がします。

(参考)
「宅配ボックス受注急増」日刊工業新聞(2017年4月19日)
「宅配ボックスで再配達を8%に」日経エコロジー(2017年4月号)
「ヤマトとセブン、同時多発の難題が襲う」日経ビジネス(2017年4月24日号)

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