アマゾンがホールフーズを買収。コンシャス・キャピタリズムは?

2017-06-19 08:49 am

アマゾンがホールフーズの買収を発表しました。アマゾンにとっては、長年目指していた食品市場での足場固めにつながります。富裕層やミレニアル世代の顧客に人気のある有機野菜などの生鮮食品の販売網を獲得できるほか、店舗受け取り、宅配代行など、ネットとリアルの融合の様々な実験が可能となります。

一方、ホールフーズのほうは、既存店売上高が7四半期連続で減少しており、今年に入ってから、アクティビストのジャナ・パートナーズが8%強の株式を取得し、買い手を捜すよう圧力をかけていました。アマゾンは、ホールフーズの独立した経営を容認し、ジョン・マッキーCEOも現職に留まる見込みです。また、デジタル・テクノロジーや低価格販売のノウハウ活用も可能となり、ホールフーズにとっても経営的メリットがあります。

株式市場は、この買収を好意的に受け止めており、アマゾンの株価は上昇しています。一方で、この買収の影響を受けると予想されるウォルマートをはじめとする他の流通企業の株価は急落しています。

この買収で気になるのが、ジョン・マッキー氏が掲げていた「コンシャス・カンパニー/コンシャス・キャピタリズムの考えはどうなるのか?」ということです。ジョン・マッキー氏は、著書で、コンシャス・カンパニーとコンシャス・キャピタリズムという考え方を提示しています。

コンシャス・カンパニー(意識の高い企業)とは、①主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられ、②自社の目的、関わる人々、そして地球に奉仕するために存在するという意識の高いリーダーを頂き、③そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような活発で思いやりのある文化の根ざしている会社です。コンシャス・キャピタリズムとは、あらゆるステークホルダーにとっての幸福と、金銭、知性、物質、環境、社会、文化、情緒、道徳、あるいは精神的な意味でのあらゆる種類の価値を同時に創り出すような、進化を続けるビジネスパラダイムのことです。なお、マッキー氏は、シェアード・バリューについては、「ビジネスと社会的利益をうまく一致させる現実的な方法だが、コンシャス・キャピタリズムに備わっていて、計り知れない力を与えてくれる目に見えないが重要な情緒的、精神的な動機づけを欠いており、小手先の調整に近い」と断じています。

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アマゾンの下で、こうした高尚なコンシャス・カンパニー、コンシャス・キャピタリズムの考えを貫くことはできるでしょうか?アマゾンは長期的視座を持っている企業であり、短期利益を追求するアクティビストに支配されるよりはずっと良いでしょう。また、アマゾンは、「幸せを届ける会社」ザッポスを買収しても独立した経営、独立した文化を認めており、ホールフーズに対しても、コンシャス・カンパニーの経営を、それが長期的な成功・成長につながると考えれば、認める可能性は高いと思います。

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いずれにせよ、ホールフーズは業績の改善が求められており、ジョン・マッキー氏が「小手先の調整」と呼んだシェアード・バリューの考えを取り入れるのが、現実的でしょう。ホールフーズがシェアード・バリューを推進し、デジタル・テクノロジーなどを取り入れてそれを進化させ、アマゾンもまたその考えを取り入れるような流れができれば、シェアード・バリューを広げる観点からは、最高のシナリオです。今後の動きに注目です。

(参考)

jp.reuters.com/article/instant-view-amazon-idJPKBN19724X?pageNumber=4

www.nikkei.com/article/DGXLASGN17H04_X10C17A6000000/

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