CSVの最新エッセンスを含む「保険会社のCSV」レポート

2017-06-29 09:31 am

今年のShared Value Summitで、「FSGが発表したCSVのレポートの中でも最高傑作じゃないか」とFSGの人間が語っていた保険会社のCSVに関するレポート”Insuring Shared Value – How Insurers Gain Competitive Advantage by Better Addressing Society’s Needs”が発表されました。Harvard Business Reviewにも掲載されています。

保険は、顧客や社会が求める健康や安全を促進すると、保険料が下がり、商品としての競争力が高まり、企業の利益にも貢献する業態です。社会課題の解決に貢献することが、顧客の利益になり、自社の利益にもなる業態で、”Natural Shared Value Industry”とも言われます。

「保険会社のCSV」レポートでは、CSVを考えるときの基本である「ビジネス戦略」×「社会ニーズ」×「(企業の)能力・強み」のそれぞれの観点からの考察や、最近のCSVの注目領域である「エコシステムの構築」、さらに「CSVをどう進めるか」といった観点からの考察が、事例をベースとしてなされています。

保険業界を「社会ニーズ」のレンズで見ると、豊かで健康な職業生活、高齢化社会における健康で独立した生活、都市生活の健康と安全、災害に対するレジリエンスなどが見えてきます。また、「能力・強み」のレンズで見ると、デジタル技術の進化、ビッグデータの活用、行動心理学の応用、政府や地域コミュニティとの協働、効果測定手法の進化などが見えてきます。そして、これらを「ビジネス戦略」のレンズで組み合わせた新しい保険のCSVモデルが登場しています。

こうした観点を含む保険のCSVモデルの代表格が、ディスカバリーのバイタリティ・プログラムです。デジタル技術や行動経済学のノウハウを用いて保険加入者に健康増を増進する行動を促し、顧客・社会価値を生み出しつつ、保険金支払いを減少させています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2190#.WVOhYWcUnIU

これ以外にも同レポートでは、健康とウェルネスの状態を把握するスタートアップ企業のテクノロジーの活用や、NPOとの協働による身体やメンタルの課題、家庭や職場のトラブルなどのカウンセリングを通じて、企業の従業員の健康とウェルネスを促進しているスカンディア。オーストラリアで、交通事故を減らすために、自動車メーカーと協働で安全基準を強化し、安全装置の装備を促し、蓄積したデータに基づき事故リスクの高い地域を地図上で特定し、地方自治体と連携して事故リスクの要因となるインフラを改善するなどにより、事故と支払い保険を軽減しているIAGなど、興味深い保険のCSVモデルがいろいろと紹介されています。

また、ディスカバリーがフィットネスやIoTデバイス企業、スカンディアがテクノロジー・スタートアップやNPO、IAGが自動車メーカーやテレマティクス企業などと協働しているように、新しいバリューチェーンを構築し、さらに規制や政策、消費者の意識啓発などのビジネス環境の整備などを通じて、CSV商品・サービスを普及させる、製品・サービス、バリューチェーン、ビジネス環境の3つのCSVを統合したエコシステムの構築の考え方も提示されています。

このレポートは、保険以外の業界でも参考となる最新のCSVのエッセンスが詰まっていますので、CSV推進にご関心のある方は、一読する価値があるでしょう。

(参考)

www.sharedvalue.org/groups/insuring-shared-value-0

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

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