短期志向の投資家の影響をどう避けるか。Social Stock Exchangeなど

2017-07-03 08:55 am

最近、社会価値を追及する企業が、短期志向の投資家の圧力にさらされるケースが目立ちます。今年始め、ユニリーバが、投資先のコスト削減を徹底的に行い、短期的に収益を改善して企業価値を高めることで有名な、投資会社の3Gキャピタルに買収を仕掛けられました。

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最近では、アクティビストのサード・ポイントがネスレ株を大量に保有していることを明らかにし、株価パフォーマンスを高めるよう圧力をかけました。ネスレは、これに対し、2020年までに最大で200億スイスフラン(約2兆3400億円)の自社株買いを実施することや、今後の投資を成長率が高いコーヒーやペットフード、乳児食品などに絞り込むことを発表しました。

また、コンシャス・キャピタリズムを掲げるホールフーズがアマゾンに買収された背景には、アクティビストのジャナ・パートナーズが8%強の株式を取得し、買い手を捜すよう圧力をかけていたことがあります。

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これら大企業の事例以外にも、手作りのアクセサリーなどのECサイトを運営する、Bコーポレーションの米エッツイーが、アクティビストなどからの赤字体質改善の圧力により、経営陣の一部刷新と人員削減を発表しています。なお、Bコーポレーションは、このブログでも何度か紹介していますが、NPOのBラボが、社会に価値を生み出す企業を認証しているものです。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1260#.WVdXOGcUnIU

社会価値を追及する企業が、短期的にもCSVとして十分な利益を上げることができれば問題はないのですが、CSVを追求する場合、時間がかかるケースが多くあります。そうした場合に、短期志向の投資家の圧力を如何に避けるかが課題となります。

一番シンプルな方法は、非上場企業のままでいることです。2,000を超えるBコーポレーションの中で、上場企業はエッツイーを含む2社だけです。大企業でもIKEAのように非上場であり続ける企業もあります。IKEAは、長期的視点で、創業者の理念を追求し続けることがIKEAの成功の秘訣であり、そのためには、非上場であることが必要と考えています。

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しかし、非上場のままでは、上場企業が得られる資金調達、企業価値、社会的信頼、人材確保などの面でのメリット得られませんし、ガバナンスが働かなくなるリスクもあります。そこで、社会価値を追及する企業向けの新しい証券取引所を創る動きもあります。Social Stock Exchangeの創設の動きは、まだ始まったばかりですが、今後注目すべき動きですね。

socialstockexchange.com/about-us/

(参考)
「米エッツイー、新経営陣」日経産業新聞2017.6.30

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

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