グローバルで「市場創造のCSV」に取り組む企業が増えつつある
製品・サービス、バリューチェーン、ビジネス環境の3つのCSVのうち、日本企業の取り組みが最も遅れているのがビジネス環境のCSVですが、その中でもグローバルで事業を展開していくために重要なのが、「ルールメイキングのCSV」と「需要創造のCSV」です。(この2つを含め市場を創造するCSVを「市場創造のCSV」と総称します。)ルールメイキングのCSVとしては、日本企業ではダイキンの取組み、需要創造のCSVとしては、ユニ・チャームの取組みなどが優れていると思います。グローバル企業として成功しているところは、CSVも自然に進められているようです。
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最近は、ルールメイキングのCSVや需要創造のCSVに対する理解も進んできて、少しずつ実践する企業も出てきているようです。富士フィルムは、中東での内視鏡の市場拡大を目指し、機器の取り扱い方法に通じた医師を養成するため、中東各国で研修施設を増やしています。オリンパスも同様に内視鏡市場の拡大を目指し、タイのバンコクに内視鏡を扱う医師や看護師向けの研修施設を開設、中国では上海や北京に、内視鏡の操作技術を学ぶ専用施設を開設しています。医療介護大手のシップヘルスホールディングスは、学校法人等との協働で、バングラデシュで医療技術者の養成学校を開設し、臨床検査技師や放射線技師、歯科技師などを育成して、医療機器市場を創造しようとしています。
実は、その昔、必死でグローバル展開を進めていた日本企業は、様々な形で市場創造のCSVを実践していました。しょうゆと肉を組み合わせて「TERIYAKI」という新しい食文化を創り、しょうゆの市場を創造したキッコーマンの取組みも市場創造のCSVと言えますし、ヤマハ発動機がアフリカで漁業を広めることで船外機の市場を創造したのも、非常に素晴らしい取組みです。
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国内市場が少子高齢化する中、グローバル展開が必要と言われ続けつつも、部品や素材などの製品の性能・機能でグローバル展開が可能なもの以外は、一部の企業を除いてグローバル展開、グローバルでの競争力はまだ不十分のように思います。本格的なグローバル展開にあたっては、「市場創造のCSV」の視点は不可欠です。今後のさらなる取組みに期待したいですね。
(参考)
「新興国で医療機器研修」日本経済新聞(2017年6月30日)
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