社会と企業の関わりにおけるキートレンド

2017-07-10 09:16 am

企業活動のグローバル化が進み、バリューチェーンを通じた企業の社会への影響力が拡大する中、企業への社会的責任への要請は強まっています。また、経済・社会が複雑化・多様化する中、多くの顕在化する社会課題に政府が対応することは現実的に困難になってきており、市民セクターに加え、企業が社会課題に能動的に取り組むことが求められるようになっています。実際、世界最大のPR会社エデルマンの調査によれば、一般市民の75%は、企業がコミュニティにもっと貢献できると考えています。

こうした中、社会との関わりの中で企業に求められる行動、企業が実施すべきことも変わってきています。社会性に関わる戦略が企業の成功に必要と考える200人以上のCEOが主導するCECPが、そのキートレンド(KT)を整理しているので、紹介します。

KT1「パーパスを掲げる(Purpose Driven)」:ステークホルダーを惹きつけ、人財を生かすために、社会にどのような価値を創出するかを明示する「パーパス」を掲げることが重要になっています。パーパスを掲げることは、人財活躍を通じて業績を高めており、明確なパーパスを掲げる企業の58%は、パーパスが10%以上の財務的成長をもたらしていると考えています。また、パーパスを掲げる企業の85%は、2013年から2016年の間に収益を拡大しています。

KT2「長期思考(Long-Term Thinking)」:優れたCEOは、経営の健全性と、短期利益を求める株主だけでなくすべてのステークホルダーへの価値創出を重視して、長期と短期のバランスの取れたアプローチを取るべきと考えており、資家が企業経営の安定性を求める流れも広まっています。短期的なパフォーマンスを求めることが、長期的な企業価値を創出する能力に悪影響を及ぼすとの仮説を検証する研究が進められており、それがファクトとして認識されるようになれば、アセットオーナーももっと企業に長期思考を求めるようになるでしょう。

KT3「従業員ボランティアへの柔軟な対応(Employee Engagement 2.0)」:多様化する従業員の情熱を生かすために、ボランティア・プログラムも多様化し、柔軟になっています。CECPのデータによれば、ボランティアの機会を生かせるような柔軟な働き方は、2016年に最も取り入れられたプログラムであり、61%の企業が有給でボランティアをすることを、60%の企業がボランティアのために就業時間を柔軟に変更することを認めており、こうしたプログラムを導入する企業は拡大しています。

KT4「企業の社会的投資(Leveraging Assets)」:企業の社会的投資が戦略と深く結びつくようになり、事業部門で行われるようになっています。CECPも事例を含むレポートをいくつか出していますが、これはCSVの推進そのものです。CECPでは、この他のキートレンドとして、KT5「グローバルな課題に対応するコラボレーション(Global Challenges, Global Collaboration)」、KT6「戦略的社会投資のアピール(Advocacy as Strategy)」を挙げていますが、これらもCSVに関連するものです。CECPのアンケートによれば、61%の企業は、戦略的投資をアピールし、20%は社会の反応を見ながらその戦略を進化させています。

(参考)

www.csrwire.com/press_releases/40152-Collected-Insights-Offer-a-Strategic-Roadmap-for-Companies-as-They-Respond-to-New-Global-Challenges

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡下さい。

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bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/

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