ラリー・フィンクの手紙。それに能動的に対応すべき

2018-01-22 09:22 am

先週、世界最大の資産運用会社ブラックロックCEOラリー・フィンク氏が、世界の大企業のCEOに対し、2018年の年次レターを送付しました。そのタイトルが、「A Sense of Purpose」。企業が持続的・長期的成長のために、社会の潮流に適応し、財務パフォーマンスだけではなく、すべてのステークホルダーに価値を生み出すこと、そのために積極的にエンゲージメントすることを求めています。

ラリー・フィンク氏のレターは、まず、社会の現状として、株価が急上昇する一方で、将来の不安も高まっていること、その背景として、資本を持つものと持たざるものの格差が拡大していること、特に十分な教育と職の保障が得られていない人々の間で、不安が広まっていることを挙げています。また、政府が人々の将来を保障できていないため、人々は、企業に対して「社会的目的(Social Purpose)」を追求することを要求している、企業が長期的に繁栄するためには、財務パフォーマンスだけでなく、社会への貢献、すべてのステークホルダーに便益を与えることが求められているとしています。そして、「目的意識(a sense of purpose)」がなければ、企業はポテンシャルを最大限に発揮することはできないとしています。

次に、コーポレート・ガバナンスに関して、ブラックロックは、1,7兆ドルのアクティブ・ファンドでは、戦略方向性や長期的成長に疑義のある企業の株式を売却することができるが、インデックス・ファンドではそうはいかないため、エンゲージメントが重要であることを伝えています。そのためには、企業の責任が重要となるのと同様に、アセットマネジャーの責任も重要となっているとしています。現在の株主エンゲージメントは、年次総会や議決権行使にフォーカスしすぎており、長期的価値を向上するために年間を通して対話することの重要性を説いています。そして、ブラックロックは、自らインベストメント・スチュワードシップの体制を強化し、エンゲージメントを促進していくとしています。

そして、株主エンゲージメントをより生産的なものとするために、企業が長期的な価値創造に向けた戦略フレームワークを明確に示し、取締役会でしっかり検討したことを明示することなどを求めています。財務パフォーマンスを継続するためには、賃金の低迷、オートメーションの進化、気候変動などの社会の構造変化が成長ポテンシャルにどう影響するか、自社ビジネスが社会にどうインパクトを与えているかを理解しなければならない、としています。そして、最近の米国の減税の影響、取締役会のダイバーシティの重要性など、具体的な内容も含めています。

最後に、「2018年に入るにあたり、ブラックロックは、長期的価値創造に関する議論に積極的に参加し、貴社がすべてのステークホルダーに価値を生み出すよりよいフレームワークを構築することに尽力します。我々のクライアント-すなわち貴社の所有者-は、投資リターンだけではなく、人々の繁栄と生活の保障をドライブするリーダーシップを求めています。これらに対して、貴方とエンゲージすることを楽しみにしています。」と締めくくっています。

ブラックロックは、1988年にフィンク氏らが創設、買収により規模を拡大し、金融危機でリスク分析能力の高さが評価され、米財務省やFRBが助言を仰ぐ存在、世界で最も影響力の強い金融の一つとなりました。社会の潮流を鋭く読み、それに戦略的に先手を打っていくことに長けている企業です。ブラックロックの仕掛ける動きに受動的に対応するのではなく、能動的に対応することは、社会の潮流に適応することにもなると思います。

(参考)

www.blackrock.com/corporate/en-us/investor-relations/larry-fink-ceo-letter

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.