既にあるものを応用しよう:ニュージーランド航空の機内安全ビデオ

2018-03-14 09:19 pm

昔、今の国土交通省航空局で公務員をしていたときに、羽田空港で非常脱出の際に多くの人がケガをするという事故があり、航空会社の機内安全ビデオに脱出シートの使い方を加えるというプロジェクトを担当しました。そういうこともあり、今でも、航空会社の機内安全ビデオは、関心を持って見ています。

最近は、アニメを使ったものや、エンターティメント性の高いものなど、いろいろなものがありますが、基本的には、機内安全ビデオは、安全用具の使い方、旅客が安全を守るための知識付与のためのものです。そこに違う目的を加えているビデオは、記憶がありません。とは言え、多くの旅客が見るビデオですから、安全に関する知識の提供を大前提として、他の目的にも使えるものです。

以前から映画とのタイアップなど、ユニークな機内安全ビデオを提供しているニュージーランド航空は、最近のビデオで、気候変動に対する啓発をしています。南極をロケ地として、南極やそこでの研究を紹介しつつ、併せて、旅客に気候変動に対する気づきを与えています。

ハリウッド俳優、映画監督で国連環境親善大使でもあるエイドリアン・グレニアー氏を案内人として、ニュージーランド航空が支援する気候変動の研究の紹介のほか、科学者たちと一緒にペンギンの個体数や氷のコアサンプルを調査したり、広大な乾燥渓谷(ドライバレー)を訪れたりしています。

ビデオの中で、地球上の淡水の70%が存在する南極で起こることが地球全体に大きな影響を及ぼし、そこでの研究は非常に重要であることが紹介され、視聴者に気候変動への気づきを与えています。ニュージーランド航空は、ビデオの作成にあたっても環境に配慮し、撮影チームは俳優を含めて6名に限定され、研究施設の科学者やスタッフがキャストとして出演しています。

航空業界のサステナビリティへの取り組みは、バイオ燃料などが中心でしたが、ニュージーランド航空の機内安全ビデオは、2017年だけで41億人が空の旅をしている中、航空会社のサステナビリティに対する新しい取り組みの可能性を示しています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=1521#.WqkSLExuJdg

CSVには、このように既にあるものに、新たな社会価値を付与するやり方もあります。なお、日本の航空会社がこうしたことを検討しようとした場合、安全規制において、必要な安全情報が含まれていれば、他の情報を入れることは問題ないとは思いますが、もし制約があるようであれば、私が担当官ならすぐに変更しますね。

(参考)

www.sustainablebrands.com/news_and_views/marketing_comms/sustainable_brands/air_new_zealand_sheds_light_climate_change_new_saf

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.