たばこ会社は、今後どう生き残っていくべきか?

2018-03-26 09:26 am

今年の初めに、フィリップモリスが英国の新聞広告で、2018年の豊富として「我々は、たばこを止める」と宣言しました。「毎年、多くの喫煙者がたばこを止めているが、次は自分たちの番だ」ということです。以前、パタゴニアが”Don’t Buy This Jacket”という広告を出して話題になりましたが、同じようなニュアンスの広告です。

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フィリップモリスは、いい加減な宣言をしているわけではなく、実際に紙巻きたばこの販売から撤退する方針を打ち出しています。電気加熱式たばこのアイコスが急速に普及していることを受けて、ゲームチェンジを速めていこうということでしょう。CSVの観点で言えば、(従来の紙巻きたばこより健康に良いとされる)加熱式たばこの市場を拡大するため、消費者やステークホルダーの意識、さらには新しいルールを作っていこうとする「ビジネス環境のCSV」です。

日本で今国会に提出されている受動喫煙防止法案では、加熱式たばこも紙巻たばこ同様の規制対象となっていますが、将来的には、紙巻きたばことは異なるルールの適用を目指していくでしょう。ただ、アイコスは「有害物質90%減」をうたっていますが、たばこの健康被害という問題が解決できるわけではありません。社会的要因による市場縮小という運命から逃れられるわけではありません。最近では、化石燃料関連企業も、ダイベストメントの動きなど経営に逆風が吹いていますが、こうした企業はどう対処すべきでしょうか。

長期的な市場縮小にうまく対応した企業としては、富士フイルムが良くあげられます。こちらはデジタル技術(デジタルカメラ)の進化によるフイルム市場の縮小という技術的要因によるものですが、これまで培ってきた技術を生かして、事業ポートフォリオを変革して生き残りました。

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たばこ企業は、テクノロジー企業と同じように、要素技術を生かしてすぐに事業を転換するということは難しいかも知れません。農産物を加工して製品化するという観点では、食品事業などは近いかも知れませんが、JTの例を見てもそこに大きなシナジーがあるようには感じません。しかし、アイコスを挟むことにより、事業転換の可能性が広がります。

フィリップモリスCEOは、「私たちはテクノロジーとサイエンスを基盤とする企業になりつつある」「純粋たばこ会社にできることはほとんどない」と言っています。従来型のたばこ会社では事業転換は難しいが、テクノロジーとサイエンスの企業になることで、事業転換の可能性が広がるということでしょう。アイコスの最新モデルには、無線通信機能があり、電子サービスの提供を拡大する意図もあるようです。

その他、たばこのバリューチェーンを変革することで、ハイテク農業企業、バイオ燃料企業、脳と神経のサイエンス企業など、事業転換の方向性はいろいろ考えられます。今後、フィリップモリス、たばこ会社がどう変化していくのかは、経営コンサルタントして、非常に興味深いですね。しかし、事業転換を行っていくには、どのような価値を社会に提供していくのか、パーパスをしっかり議論していく必要があるでしょう。

(参考)

www.sustainablebrands.com/news_and_views/organizational_change/sustainable_brands/philip_morris_gives_cigarettes_%E2%80%94_asks_consum

iqossan.com/pmi-give-up-cigarettes/

iqossan.com/iqos-tipping-point/

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

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