アップルのゼロ・カーボンのアルミ製造
史上初めての時価総額1兆ドル超えが目前となっているアップルは、サステナビリティの取組みも大胆に進めています。先日は、再生可能エネルギー100%達成が話題となっていました。今後は、サプライチェーンの100%再生可能エネルギー化やリサイクル素材の利用など、サプライチェーンのサステナビリティを推進していくこととしています。
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アップル製品の特徴的なデザインを実現する重要技術の1つとして、アルミの板を削り出して筐体を作る「ユニボディ」がありますが、アップル製品は、アルミを多く使用しています。そのため、アップルのカーボン・フットプリントの24%を占めています。アップルは、このアルミ製造に関わる温室効果ガス排出削減に向けて、イノベーティブな取組みを進めようとしています。
アップルは、アルミ製造大手のアルコア、資源大手のリオ・ティントと協働で、Elysisというジョイント・ベンチャーを設立し、ゼロ・カーボンのアルミ製造を実現しようとしています。19世紀からのアルミ製造プロセスでは、アルミナを炭素の電極として電気分解しますが、このときに、大量の二酸化炭素が排出されます。アルコアで開発されたElysisのアルミ製造プロセスでは、電極の材料を変えることで、二酸化炭素ではなく、酸素が出てきます。
アップルは、3年ほど前から、CO2を排出しないアルミ製造プロセスを探しており、世界中の研究所、スタートアップなどを当たった結果、O2を排出するアルコアのプロセスを探し出しました。さらに、技術開発の促進、生産のスケールアップ、商業化に向けて、リオ・ティントも巻き込みました。さらには、Elysisが本社を置くカナダやケベックの政府も巻き込んでいます。Elysisでは、2024年までに上記技術を商業化する計画です。
アップルのサプライチェーンのサステナビリティの取組みが、アルミ製造にイノベーションを起こそうとしています。他の業界を変える影響力を持つアップルは、財務的にも、非財務的にも、世界一の企業になろうとしています。
(参考)
www.greenbiz.com/article/why-apple-getting-cozy-aluminum-giants-alcoa-and-rio-tinto
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