食の未来に大豆の美味しさで勝負する不二製油

2018-08-19 10:53 am

前回は、クリーンミート(代替肉)を普及させ、食肉の動物による生産を不要にしようとしているインポッシブル・フーズについて、書きました。インポッシブル・フーズなどは、食肉という人々が慣れ親しんだ食物はそのままで、中身を変えようとしていますが、タンパク質の普及については、昆虫食をはじめ、他にも手段があります。

日経ビジネスオンラインの不二製油グループ本社社長清水洋史氏のインタビュー記事によれば、大豆たん白事業を展開する不二製油は、大豆を肉のようにするのではなく、大豆の素材を生かして勝負しょうとしているようです。

清水社長は、「いくら『牛を育てるにはどれくらい地球環境に負荷がかかると思っているんだ』とお説教されても、人は、おいしいものを食べたいと思う。薬なら苦かろうがまずかろうが仕方ないけど、食べ物はおいしくないといかん。大豆たん白由来の食品が、動物由来の肉とか乳に劣っているところは、味だ」とし、肉よりもチーズあたりが狙い目だと考えているようです。

クリーンミートに関しては、これから開発しようとしてもインポッシブル・フーズなどの二番煎じになると考え、肉に似せるよりも、大豆の美味しさを生かしたもので勝負しょうとしているようです。清水社長がそう思ったきっかけは、豆乳は、「牛乳に似せよう、似せよう」と思ってやってきて美味しくなったが、牛乳にはならなかった。一方で、最近のミレニアル以降の世代の人たちは、豆乳か牛乳かにこだわることなく、スタバでソイラテに高いお金を払っている、という事実です。大豆が美味しいと思えば、それにプレミアムを払ってでも食べようという人がいるということです。

清水社長の言葉を借りれば、「肉の色を付けてヘモグロビンまで入れてやるのが、インポッシブルバーガーがやっていることですわ。あれってどうよ、そんなことまでせなあかんかと。おいしい大豆をおいしく食べればいいじゃないか。」ということです。

一方で、肉や大豆はこういうものだという固定観念があり、新しい食べ物が簡単には受け入れられないという「食の保守性」についても認識しており、世界全体の食糧事情の変化や、世代の嗜好の変化をうまく読み取って保守性を乗り越える手を打っていく必要があると考えています。しかし、それを乗り越えることができれば、ビジネスとしても可能性は大きいと考えています。

ここはまさに、健康に良い大豆を美味しく食べられる製品を開発する製品・サービスのCSVと、それを普及させるために消費者の意識などを変えるビジネス環境のCSVの組み合わせが求められるとことです。長い目で見れば、次世代の人たちが大豆食品に自然に慣れ親しむことが重要であり、そのためには、食育や給食なども活用しながら、ビジネス環境を整備していくことが求められるでしょう。

なお、不二製油の大豆たん白事業は、実質的な創設者である、三方よしの近江商人の末裔である西村政太郎氏がはじめ、50年前から研究しており、もうからず「お荷物」ともみられながらも、継続されてきています。その背景には、昔から、「これだけ人間が増えていったら、肉食では環境が絶対持たない。正確な時期はともかく、絶対、将来は大豆が世界の人たちの食べ物の主流になっていくし、いかないとあかんねや」という考えがあったようです。これは、まさに社会価値を重視して継続力を発揮する日本型CSVの典型です。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=2015#.W3fLK_ZuJdg

不二製油には、CSVの考え方も取り入れながら、頑張って欲しいですね。

(参考)

business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/284031/080600035/

business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/284031/080600034/

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html

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