世界を変えるテクノロジーとしての昆虫
以前ブログで、インポッシブル・フーズCEOが、動物を、植物を食肉に変えるテクノロジーと考え、「インポッシブル・フーズは、2035年までに食物生産のテクノロジーとしての動物を不要にする。」というビジョンを掲げていると書きました。
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生物をテクノロジーと考えると、昆虫というのは、非常に有望なテクノロジーです。コオロギなどの昆虫食は、環境負荷の少ない食材として、かなり広まりつつあります。
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コオロギなどの比較的イメージの良い昆虫は、食材として有望ですが、最近、ゴキブリやハエなど、イメージが余り良くない昆虫の興味深い活用方法が始まっています。
中国では、リサイクル工場経営者が、3億匹を超えるゴキブリに、毎日15トンの食品廃棄物を食べさせて処理しています。食品廃棄物は、埋立てされるとメタンを発生し、地球温暖化の原因となってしまいます。その問題をゴキブリで解決します。さらに、ゴキブリが食品廃棄物処理の仕事を終えて死んだ後、プロテインを豊富に含むゴキブリの死骸は、栄養源として活用されます。と言っても、さすがに人間の食物という訳にもいかないので、飼料として活用されます。ゴキブリ入りの飼料を与えられた鶏は、そうでない鶏よりも健康的にたくましく育つそうです。ゴキブリの繁殖力を考えると、テクノロジーとしてのゴキブリを食物廃棄処理や飼料として活用するのは、筋が良いように思います。
ideasforgood.jp/2018/08/21/cockroache-foodwaste/
日本では、ハエの幼虫で同様な取り組みを行う動きがあります。ムスカという企業が、イエバエの幼虫を利用して、食品廃棄物や家畜のふんなどの有機廃棄物を肥料に生まれ変わらせ、その幼虫を飼料にするという循環型システムを事業化しています。このイエバエの技術は、旧ソ連が、宇宙でのバイオサイクル確立に向けて最も効率が良いものを研究した結果イエバエにたどりつき、その後、1,100世代にわたって品種改良されたものとのことです。イエバエがつくる肥料、飼料としてのイエバエは、ともに食料生産に優れた効果があるとのことです。
wired.jp/waia/2018/06_mitsutaka-kushima/
ゴキブリやハエというと、抵抗感がある人も多いと思いますが、あくまでそれは人の意識の問題であり、人の意識は変わるものです。ゴキブリやハエなどの人が好まないものに優れた機能があり、安全性などに問題ないのであれば、その事業は逆に有望です。人が過去の意識に囚われているところにこそ、CSVの機会が潜んでいます。
※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。
bizgate.nikkei.co.jp/series/007620/index.html