ナイキの戦略的「社会課題対応ブランディング」

2018-10-18 09:12 am

米国で、ナイキの広告キャンペーンが大きな話題となっています。ナイキは、ブランドを象徴するキャッチフレーズ「Just do it」の30周年を記念して開始したキャンペーンで、テニスのセリーナ・ウィリアムズ選手などとともに、2016年に人種差別に抗議してNFLの試合前の国会斉唱の際に起立を拒否し、実質的にNFLを追放されたコリン・キャパニック氏を起用しました。広告では、キャパニック氏のアップの白黒写真に、「何かを信じるんだ。すべてを犠牲にすることになったとしても。”Believe in something. Even if it means sacrificing everything.”」という言葉を重ねています。

キャパニック氏の起用は、賛否両論の大きな反響を呼び起こしました。ナイキを応援するメッセージも多い一方、トランプ大統領をはじめ多くの批判もあり、ナイキのシューズを燃やしたり、ソックスを切り裂く動画が投稿されるなどの動きも活発化しました。そのため、株式は一時3%以上の下げ幅を記録しました。

ナイキのような大手ブランドが、物議を醸すことが分かっているキャンペーンを打ち出して、敢えてリスクを取る必要はないのではないかと思うかもしれませんが、これは、以前「社会課題に対応するブランディングでどう成功するか」というブログで紹介した、「顧客の葛藤」の観点からの戦略的ブランディングです。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=3253#.W8bAuPZuJdg

人種問題という、意見の対立があり、顧客が葛藤を感じている社会課題について、ブランドが方向性を示すことにより、インパクトを与えることができます。この手法は、一定の批判を受けることは覚悟の上ですが、新しいサポーターを創り、多くのサポーターとの結びつきを強化することができます。

当初急落したナイキの株価は、約1週間後には値を戻し過去最高値をつけています。問題のキャンペーンの後の売上も好調のようですので、ナイキのキャンペーンは、ビジネス的にも成功と言って良いのではないでしょうか。社会の意識を変えるという意味でも、大きなインパクトを与えています。ブランドのCSVの一つの形を示した、歴史的なキャンペーンです。

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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