海洋プラスチックは、何故急速に重要課題となったか?

2018-10-22 09:11 am

海洋プラスチックは、2018年に、急速に重要課題として取り上げられるようになりました。海洋プラスチック問題は、20年くらい前から警鐘されはじめ、2015年には、サミットの首脳宣言で対策がコミットされるなど、世界的に注目されるようになっていましたが、2018年になって、急速に政府、企業で対応が進み、メディア報道も増えました。

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海洋プラスチック問題が急速に注目され、取り組みが進んだのは、何故でしょうか?いくつか要因があります。(この考察は、Greenbizの記事を参考にしています。)

【要因1:生き物の苦しみ】
海洋プラスチックへの関心が急速に高まったのには、鼻にストローが突き刺さったウミガメの動画、餓死したクジラの胃の中から大量のプラスチックごみが出てきた画像などが広く共有されたことがあります。動物が苦しんでいる様子は、人の心に響きます。なお、この動物への共感は、動物福祉が社会課題として注目される要因でもあります。

【要因2:ヒトの健康に関連】
東京農工大高田教授の調査によれば、東京湾のカタクチイワシの8割からプラスチック片が出てきたということです。我々が普段食べている魚もプラスチックを食べている可能性は非常に高いと言えます。多くの人が、魚と同時にプラスチックを食べている可能性もあります。このプラスチックの人体への影響は、科学的に証明されているわけではありませんが、多くの人は、体内にプラスチックを取り込むことには、不安を感じるでしょう。

【要因3:自分ごとにしやすい】
気候変動問題などに比べ、海洋プラスチック問題は、自らが日々手にしているプラスチックが、海洋に流れ込み、それを魚が食べているというイメージしやすく、自分ごとにしやすい問題です。使い捨てプラスチックを使わないといったことは、誰でもすぐに出来ることです。

【要因4:政府として取り組みやすい】
意見が対立しているもの、業界の反対が大きいものは、政府として取り組むのは容易ではありません。一方で、使い捨てプラスチックを禁止するといったことは、多くの人にとって分かりやすく、少しの利便性を犠牲にするだけですので、市民からの大きな反対も想定されません。また、使い捨てプラスチックの業界は、それほど政治的影響力があるわけでもないので、業界からの強い反対もなく、政府としては、取り組みやすい課題です。

【企業として取り組みやすい】
上記のように消費者の大きな反対がない使い捨てプラスチックを止めることは、企業にとっても取り組みやすいものです。使い捨てプラスチックの使用中止などは、ムダを排除するものですし、代替製品の開発・利用も、多大なコストが必要というわけでもないでしょう。

上記のような要因のもと、ソーシャルメディアなどで、カメやクジラの映像が共有されたことをきっかけに、2018年に海洋プラスチック問題が急速に注目され、まず使い捨てプラスチックへの対応が進みました。これがきっかけとなり、プラスチックにおけるサーキュラー・エコノミーが本格的に進む可能性もあります。最近は、人々の意識の変化やソーシャルメディアの広がりもあり、社会課題への関心が急速に高まるケースが増えています。これは、CSVの機会にもなりますので、常に備えておくことが必要です。

(参考)

www.greenbiz.com/article/why-sudden-interest-ocean-plastic

※CSV推進にご関心のある方は、mizukami@cre-en.jpまでご連絡ください。

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