分散化か中央集権か?新経済パラダイムか既存経済パラダイムか?BSRのシナリオ分析

2018-11-14 08:38 pm

デジタルテクノロジーの進化、気候変動や格差などの社会・環境問題の顕在化、移民問題に端を発する反グローバリズムの動きなど、VUCAという言葉が良く使われるような不確実な時代となっています。こうした不確実性の高い状況における意思決定をガイドするツールとして、シナリオ分析があります。

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最近、BSRが2030年のビジネスの観点からのシナリオ分析を実施してレポートを出しています。BSRのシナリオでは、最も重要な不確実性=シナリオ軸として、「中央集権と分散化のどちらが世界の主要な力となるか?」と「終わりのない成長と利益の最大化を中心とする現在の経済パラダイムへの固執が続くか、健全な地球と公平な繁栄を経済のパーパスとする新しいパラダイムに移行するか?」を選定しています。この2つは、サステナビリティの専門家がシナリオをつくる場合には、良く使われるもので、私も以前実施したシナリオ分析プロジェクトで、この2軸を使っています。

BSRのシナリオでは、「中央集権」×「新経済パラダイム」を”A Tale of two systems”シナリオとして、オートメーションと気候変動の影響がグローバルで混乱を引き起こします。そこで、中国が、「繁栄、秩序、サステナビリティ」というビジョンを掲げ、新興国を仲間に引き入れます。欧米政府とビジネスリーダーは、自由市場資本主義が生き残るためには、社会との契約を革新的に見直す必要があると理解します。

「分散化」×「新経済パラダイム」は”Move slow and fix things”シナリオとして、健康への懸念や偽情報スキャンダル、グローバル経済の停滞が信頼を損ない、人々は、消費主義、大企業、ソーシャルメディアに幻滅します。そして、ローカル経済が活性化し、人々がコミュニティの良さを再発見し、癒しの文化が定着しはじめます。

「分散化」×「既存経済パラダイム」は”Tribalism, Inc.”シナリオとして、すべてのビジネスが政治的であるという認識が、社会、経済、文化の分裂を促進します。そして従来とは異なる種族が現れ、コレクティブ・アクションが難しい状況の中、いくつかの種族が、気候変動などのグローバル課題に対して、革新的なアプローチを試します。

「中央集権」×「既存経済パラダイム」は”Total information awareness”シナリオとして、高度にパーソナライズ化されたAIコンパニオンが、日々の生活に不可欠となります。巨大ビジネスの集中されたネットワークが、データを通じて手に入れやすい効果的なサービスを提供します。プライバシーはなくなり、多くの仕事が自動化されなくなりますが、大部分の人々は新しい現実を受け入れます。

BSRのシナリオ分析では、それぞれのシナリオごとの変化を詳しく示していますので、一つの考えとして参考になります。なお、最近は、TCFDの報告書でシナリオ分析にもとづく情報開示が推奨されたことで、サステナビリティ業界でシナリオ分析が注目されていますが、TCFDが求めているのは、気候変動の財務的影響に特化したもので、実際に行われているのは、2℃シナリオなどのもとで想定される機会・リスクと、その財務的影響の評価であり、一般的なシナリオ分析とは異なることには、留意が必要かも知れません。

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(参考)

www.greenbiz.com/article/4-radical-futuristic-scenarios-steer-your-sustainability-strategy

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