サステナビリティ推進者が読まなければならない「FACTFULNESS」

2019-01-28 09:15 am

「FACTFULNESS」は、サステナビリティを生業にしているものであれば、必ず読まなければならない本ですね。この本は、如何に我々が世界を理解していないか、その事実と原因、そしてどうすれば世界の現状を正しく見ることができるかを示してくれます。サステナビリティを推進するにも、事実や正しい認識に基づかなければ、信頼も得られませんし、判断を誤ります。

「FACTFULNESS」は、クイズからはじまります。

質問「世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?」 A 50歳 B 60歳 C 70歳 
⇒先進国では寿命は延びているが、途上国ではまだ乳幼児死亡率も高く寿命は短いはず。60歳くらいだろうか? 答えはC 70歳

質問「世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?」 A 20% B 50% C 80%
⇒検討がつかないが、予防接種はまだ世界中には普及していないのでは?50%くらい? 答えはC 80%

自分が如何に世界のことを知らないかが分かります。これは著名な科学者、ジャーナリスト、活動家、政界トップなど、すべての国のすべてのエリートも同じで、皆世界のことを理解していないようです。何故そうなのか?「FACTFULNESS」ではその原因として10の本能を挙げています。

1.分断本能:「先進国」「途上国」というふうに、単純に世界を分けて考えてしまうこと。世界では確かにまだ10億人の1日2ドル未満で生活する人々がいますが、50億人は、欧米・日本などの高額所得国との中間にいます。予防接種も受けられ、電気も使える人たちが大部分なのです。

2.ネガティブ本能:「世界はどんどん悪くなっている」と思い込んでしまうこと。悪いニュースのほうが関心を集め広まりやすいため、メディアも積極的に報道します。そのため世界は悪くなっているという印象を持ってしまうかも知れませんが、実際は、寿命は延び、貧困は減り、自然災害の犠牲者も減っています。

3.直線本能:人口は増え続けるなど、世界は直線に変化すると思い込んでしまうこと。実際は、人口は100~120億人で安定すると予測されています。何事も直線的に変化し続けるということはめったにありません。

4.恐怖本能:危険でないことを恐ろしいと思い込んでしまうこと。人間には、テロや災害など、恐ろしいものには自然と目がいってしまう本能があります。リスクを正しく計算して判断することが必要です。

5.過大視本能:目の前で起こっていることなど、特定のことがとても重要と勘違いしてしまうこと。誰でも特定の数字などが非常に重要と思い込んでしまうことはあります。何が重要かは、ほかのものと数字で比較した上で判断する必要があります。

6.パターン化本能:「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み。自分の経験や限られた知識をもとに、すべてがそうだと考えてしまうことがあります。一つの集団のパターンを根拠に物事が説明されている場合は、適切な分類をすべきではないか、疑ってみる必要があります。

7.宿命本能:「もって生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まる」という思い込み。日本人は〇〇、アフリカ人はXX、といった感じで、民族・宗教・文化などの性質は変わらないと思いがちです。しかし、実際はゆっくりと変化は起こっています。

8.単純化本能:「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み。人間は、自分の得意なこと、慣れ親しんでいる視点、自分が良く知っている領域に当てはめて物事を考えがちです。しかし、ひとつの視点だけでは、世界を本当に理解することはできません。様々な角度で、様々な立場で物事を見る必要があります。

9.犯人捜し本能:「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み。何か問題があるとき、人間は特定の人やグループの責任として片づけてしまいがちです。しかし、本当の原因はシステムや構造にあることがほとんどで、犯人捜しをして誰かを責めても物事は解決しません。

10.焦り本能:「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み。特定の問題が喫緊の課題だと考え、すぐに解決しなければならないと焦ると判断を誤ることがあります。筆者も感染症の広がりに焦って道路封鎖に加担したことが、悲劇を生んだ事例を紹介しています。起こっている事象をデータに基づき冷静に判断し、取り組みを一歩一歩着実に行うことが大事です。

「ファクトフルネス」とは、こうした本能の存在を理解し、「事実に基づく世界の見方」を習慣とすることです。本物のサステナビリティ推進者は、これを身につけなければなりません。世界の真実を正しく理解した上で、さらに良い世界を目指すために行動しなければなりません。

(参考)
「FACTFULNESS」ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド著(2019年、日経BP社)

※CSV推進にご関心のある方は、以下までご連絡下さい。
mizukami@cre-en.jp
参考CSV情報

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856747026032018000000?page=5

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856746026032018000000

CSV戦略ポテンシャル診断サービス
「CSV戦略ポテンシャル診断」サービスページ

Copyright(c) 2012 Cre-en All Rights Reserved.