サステナビリティで事業ポートフォリオを組み替える動きの広がり
先日の日経新聞に、シンガポールの農産物商社大手オラムが、ゴム、木材、肥料、砂糖といった環境や健康への影響が懸念される事業からの撤退を表明したとの記事がありました。オラムのCEOは、上記事業撤退を発表した新経営戦略の説明会で、「持続可能性を事業運営の中心に据える」とし、「サステナビリティ」を連呼していたそうです。この判断の背景には、NGOからの厳しい視線のほか、消費者の好みの変化、ネスレやユニリーバなどの顧客からの要請、投資家の変化があります。
オラムのような、サステナビリティ視点での事業ポートフォリオの組み換えは、世界的に広がっています。以前ブログで紹介しましたが、ダノンは、サステナビリティの軸の一つ、「健康」が自らのパーパスであることを再認識し、事業ポートフォリオを組み替え、ビール、肉類、およびチーズ関連の事業を売却し、乳幼児向け食品や医療用栄養食の会社を買収しています。
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米国の大手ドラッグストアCVSヘルスが「健康」をパーパスとして、パーパスに整合しないタバコの販売を止めたのもサステナビリティに基づく事業ポートフォリオの組み換え事例です。CSVヘルスの決断は、売上・利益、顧客ロイヤルティ、従業員ロイヤルティ、優秀な人材の獲得といった面で、成功しています。
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ユミコアが、土地ではなく都市から資源を採掘する企業に変身したこと、ウェイスト・マネジメントが廃棄物を埋め立てる会社から、廃棄物を資源として価値を創出する会社に生まれ変わろうとしているのも、サステナビリティに基づく事業の組み換え、変革の事例です。
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SDGsが世界の向かうべき方向を指し示すという認識が広まっているように、サステナビリティは、VUCAの時代に数少ない間違いのない正しい方向を示しています。サステナビリティに視点で事業を組み替える企業は、これからも増えるでしょうし、そうした企業は、間違いなく、中長期的に成功する可能性が高まるはずです。
(参考)
「アジアにESGの波 農産物商社大手オラム 環境配慮、ゴムや木材撤退」日経新聞2019年2月2日朝刊
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参考CSV情報
bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856747026032018000000?page=5
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