キリンvsアサヒ、CSVで分かれた戦略

2019-02-25 09:22 am

2月14日、キリンホールディング(HD)とアサヒグループホールディングス(HD)が同日に中期経営計画を発表しましたが、その内容は、大きく分かれています。キリンが健康領域に積極投資するのに対し、アサヒはビールのブランドを強化する内容となっています。CSVへの対応が、その違いを生み出しています。

キリンHDは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」と中期経営計画を同時に発表しました。長期経営構想では、2027年目指す姿を「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」としています。先行きの見通しが困難となり、経営に影響する社会課題が顕在化する中、持続的な成長を実現するには、CSV経営の進化により社会的価値と経済的価値を創出し、社会と共に歩んでいくことが不可欠との考えがこのビジョンの背景にあります。

中期経営計画は、このビジョン実現のため、健康事業などを中心とする新規事業に3,000億円を投じることを明記しました。世界のCSV先進企業として、持続的な成長を可能とする事業ポートフォリオ構築、社会課題をグループの成長機会に変えるイノベーション実現のための投資です。CSVビジョンを掲げ、それに向けて事業ポートフォリオを組み替えていくというのは、CSV経営の王道です。

キリンHDは、長期非財務目標「キリングループCSVパーパス」も同時に発表しました。「酒類メーカーとしての責任」「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という4つの重要課題に対して、「Zero Harmful Drinking」「2050年までに、資源循環100%社会の実現を目指します」といった長期目標を設定しています。また、パーパスを組み込んで「CSVコミットメント」をアップデートしています。新しいCSVコミットメントは、中計の非財務目標として、19のコミットメントに具体的な定量目標を設定しています。

キリンHDは、SDG3.5「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する」が掲げられたように、酒類に対して厳しい目が向けられていることも踏まえ、「健康」を強化した事業ポートフォリオ構築を目指しています。社会課題の動向を洞察し、社会的価値と経済的価値の両立の観点から戦略を構築する、本格的なCSV経営を推進しようとしています。

一方、アサヒHDのほうは、新グループ理念「Asahi Group Philosophy」の制定に基づいて、中期経営方針を更新しています。新グループ理念では、「高付加価値ブランドを核として成長する“グローカルな価値創造企業”を目指す」というビジョンを掲げています。そして、中期経営方針では、「国内外での高付加価値ブランドの育成」などを掲げており、ビール事業を強化する内容となっています。

CSVに関しては、中計の柱の一つとして「持続的な価値創造プロセスを支える『ESGへの取組み深化』」を掲げ、その中で、「酵母、乳酸菌技術などアサヒ独自の強みを活かすCSVへの取組みを拡大し、サステナビリティの向上を目指す」としています。経営の中心ではなく、一部の取組みとして、CSVも推進していくといったニュアンスです。

酒類規制や健康領域に対する見方、CSVを経営の中心に据えるかどうか、といったことが2社の戦略に違いをもたらしています。私は、CSVを本格的に推進する企業が増えることが必要であり、そうした企業が長期的に成功する可能性が高いと考えていますが、キリンvsアサヒについては、どうなるでしょうか。とりあえず今晩は、クラフトビールの市場拡大に貢献しようと思います。

(参考)

www.kirinholdings.co.jp/news/2019/0214_01.html

www.kirinholdings.co.jp/news/2019/0214_02.html

www.asahigroup-holdings.com/ir/19pdf/190214_1.pdf

「ビール2強の戦略が分かれた事情」日経ビジネス2019.02.25

※CSV推進にご関心のある方は、以下までご連絡下さい。
mizukami@cre-en.jp
参考CSV情報

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856747026032018000000?page=5

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856746026032018000000

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