CSVの考え方を身につけるにはどうするか

2019-03-26 10:28 am

CSVに関心を持ち始めて10年以上なります。2011年には、マイケル・ポーター&マーク・クラマーの論文が発表され、東日本大震災の被災地支援において企業やビジネスの役割も注目されたこともあり、CSVの考え方が一部で広まりました。最近は、SDGsやESGに関心が集まり、CSVという言葉がそれほど使われているわけではありませんが、社会価値と企業価値を両立させる、ビジネスの力で社会課題を解決する、社会課題を企業の競争力の機会とするといった、CSVの基本的考え方はさらに広まっています。

しかし、具体的な方法論、フレームワークとしてのCSVはまだまだ広まっておらず、CSVを経営に生かしている企業は限られます。日本国内では、実質的に良いCSVの取り組みをしている企業は、味の素、ユニ・チャーム、伊藤園、東レ、ダイキンなど、ある程度見受けられますが、意識的にCSVのフレームワークを用いているのは、キリンHDくらいでしょうか。

このブログでは、繰り返し書いていますが、CSVの基本は、製品・サービス、バリューチェーン、ビジネス環境の3つのCSVアプローチおよびそれの組み合わせです。特に、意識的にCSVを推進するには、バリューチェーン、ビジネス環境のCSVの考え方を身につけることが特に重要です。

CSVの考えを身につけることは、企業の長期的な競争力、レジリエンスを高めることにもなります。例えば、最近TDFDなどで関心が高まっている気候変動リスクを考えてみます。CSVのフレームワークにおけるビジネス環境とは、事業活動を支えるインフラ、関連業界、ルール・規制、製品・サービスへの需要、自然資本などです。これらのビジネス環境およびバリューチェーンは、気候変動により、直接の影響(物理的リスク)、政策などを通じた影響(移行リスク)に曝されます。事業活動を支えるインフラが気候変動による災害の影響をどう受けるか、製品・サービスへの需要が気温の変化でどう変わるか、カーボンプライシングによりバリューチェーンのコストがどう変化するか、CSVフレームワークを身につけておけば、こうしたリスクを適切に把握することができます。

CSVを推進するにあたっては、CSVのフレームワークを身につけることが基本となりますが、これは学ぶことで知識は身につけられます。加えて必要となるのが、社会感度とビジネスセンスです。ビジネスセンスは、CSVが企業価値を追求するものである以上、当然必要となるのですが、これは、一流のビジネスパーソンは、基本的に身につけていると思います。そうすると、追加で身につけるべきは、社会感度です。

社会感度とは、PESTなどのマクロ動向への感度ですが、CSVの場合は、特に社会課題の動向およびそれに対する人々の受け取り方に関する感度が重要となります。こうした感度を身につけるには、NGO/NPOやサステナビリティ活動家などとのエンゲージメントが有効です。組織として社会感度を身につけるには、NGO/NPOから人材を採用することなども考えられます。

社会感度を高め、CSVのフレームワークを用いてそれをビジネスの機会、競争力の機会とする。そのためには、ビジネスセンスも必要ですが、それを身につけることができれば、SDGs、ESG時代にも、企業は発展し続けることができるでしょう。

参考CSV情報

csv-jp.org/related_info.html

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856747026032018000000?page=5

bizgate.nikkei.co.jp/article/DGXMZO2856746026032018000000

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