CSRとCSV

2012-08-02 08:38 am

CSRという言葉は、日本では2003年頃から普及していますが、「社会貢献活動」と同義と捉えている人も多いようです。また、「Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任」をいう言葉のニュアンスから、「雇用、納税、法令遵守などの基本的事業活動をしっかり行うこと」、「製品・サービスを通じて世の中に貢献すること」など、人それぞれに幅広い解釈がなされているようです。

元来のCSRのコンセプトは、ドラッカーの言う「自らが社会に与える影響を処理する」「故意であろうとなかろうと、自らが社会に与える影響については責任がある」に近い考え方です。敢えて、定義付けるとすれば、「企業活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、ステークホルダーの期待に配慮しつつ、社会の持続可能な発展への貢献の視点から責任を果たす」ことです。「ステークホルダーの期待に配慮しつつ」とは、企業の社会的責任は、自社の視点ではなく、あくまで社会の視点、ステークホルダーの視点から理解すべきという考え方で、「社会の持続可能な発展への貢献」とは、組織が社会的責任を果たす上で、最終的な判断基準はここに置くという考え方です。

このCSRの基本コンセプトに関わる要請内容については、世界90カ国以上の政府、産業界、消費者、NPO/NGO、労働者などのマルチステークホルダーが6年にわたり議論した結果、ISO26000という国際標準規格が2010年に発効しています。

一方のCSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)について、もともとCSRを広く解釈し、「戦略的CSR」などとして、「製品・サービスや事業を通じて世の中に貢献する」というコンセプトを拡げようという動きがありました。しかし、”CSR”という言葉を使う限りは、新しいコンセプトはなかなか理解されないという判断のもと、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が”CSV”という新しい言葉を使い始めたものです。

フィランソロピー文化が根付いている米国では、日本以上にCSRを「社会貢献活動」を捉える傾向があり、CSRを「製品・サービスや事業を通じて世の中に貢献する」ことと結びつけることは、なかなか理解されなかったのでしょう。CSVを全く新しい経営コンセプトとして発表することにより、社会貢献の色の付いたCSRと切り離しました。

これまで、CSRは、いろいろな解釈がなされる一方、結局今やっていることで十分、ということになりがちでした。それが、基本的CSRは、「自らが社会や環境に与える影響を処理する」ものとして、ISO26000という世界共通の要請内容が定義され、これに対応することが必要となっています。また、「製品・サービスや事業を通じて世の中に貢献する」ことは、CSVという新しい経営コンセプトとして整理されました。

すべての組織が対応すべきものとして、基本的な型が定義されたCSRに対し、CSVは、競争上の差別化を生み出すものとして、各企業がそれぞれに工夫すべきものです。新しい経営コンセプトとして、経営戦略、事業戦略にどう反映させていくか、社会環境や消費者の意識の変化を受けながら、CSVは、これからさらに発展していくものと考えます。

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