ビジョナリーカンパニー④

2012-10-01 09:13 am

ドラッカーの後継者とも言われるジム・コリンズのビジョナリーカンパニーシリーズ第4弾は、外部環境にかかわらず、自らの意志で偉大になった企業を研究しており、「未来を創造する」ヒントに溢れています。CSV*を進める上でも参考になるでしょう。

ビジョナリーカンパニー④では、経営基盤が脆弱な状況でスタートしたにもかかわらず、不安定な環境下で目覚しい成長を遂げ、偉大になった企業を「10X(10倍)型企業」と命名し、こうした企業を率いたリーダーを「10X型リーダー」と呼んでいます。

10X型リーダーは、カリスマ性のあるなしなど、性格はいろいろですが、共通しているのは、「自己を超越した大儀のために全身全霊をささげている」ことです。10X型リーダー全員が大きな大儀を思い描いています。カネ、名誉、権力ではなく、「世界を変えたり、社会に貢献したりする」ことが10X型リーダーの原動力になっています。

10X型企業は、規律と創造力を併せ持っています。規律に関しては、順風でも逆風でも着実に一定の速度で成長する「20マイル行進」を行っています。

「20マイル行進」のためには、厳しい状況下でも断固として高い成果を出すことと、快適な状況下でも行き過ぎないように自制することが必要です。これは、長期的視座に立った成長のためには、非常に重要なことです。

例えば、サウスウェスト航空は、経済環境の影響を受けやすい航空業界にあって、業界全体が赤字に陥っている年も含め、毎年必ず利益を出すという規律のもと、30年連続で黒字を達成しています。一方で、好況時には自制心を働かせ、自らの能力を超えて事業を拡大しないようにしています。1996年には、100都市以上から路線開設の要望があったにもかかわらず、4都市にしか乗り入れていません。

また、サウスウェスト航空は、近距離往復路線に徹する、航空機はB737に統一、貨物は運ばないなど、明確なレシピを守り続けています。(ビジョナリーカンパニーでは「SMaCレシピ」と読んでいます。)

半導体の集積密度を18-24ヶ月ごとに倍増させる「ムーアの法則」も、インテルの20マイル行進の目標であり、SMaCレシピの一部です。10X型企業は、こうした規律の遵守に徹底的にこだわります。

創造力に関しては、10X企業は、大きくリスクを取るのではなく、実証的に創造力を発揮しています。そのための手法が「銃撃に続いて大砲発射」です。いきなり大きな賭けにでるのではなく、低コスト・低リスクで事業などの有効性を実証した上で、成功の見込みがあるものに大きな投資をします。10X型企業は、リスクに対しては非常に敏感で、常に慎重かつ冷静な対応を怠りません。

社会問題解決型のビジネスの場合は、まず社会貢献活動として始めてみて、ビジネスとして展開可能という見込みが立った上で事業化するというやり方が、「銃撃に続いて大砲発射」に近いと思います。

10X型企業は、良い意味でマイペースです。自らの掲げる大儀を実現するため、株主・投資家や顧客などからのプレッシャーに左右されることなく、自らの信念のもと、長期的視座に立って、自らのペースで着実に前進します。従来の概念に囚われない社会問題解決型のビジネスを成功させるには、こうした信念と規律をもったマイペースさは、極めて重要だと思います。

(参考)

「ビジョナリーカンパニー④」ジム・コリンズ/モートン・ハンセン著(日経BP社、2012年)

 

*CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)については、以下を参照

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

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