マーケティング3.0

2013-03-21 08:56 am

P.F.ドラッカーは、企業の基本的機能は、イノベーションとマーケティングの2つだとしています。イノベーションは、「新しい価値の創造」であり、マーケティングは、「市場の創造」です。社会に新しい価値を生み出す製品・サービスを開発し、その製品・サービスを社会に普及させることが企業の基本的機能であるということです。

今回は、マーケティングについて述べます。マーケティングについては、最近、「マーケティング3.0」というコンセプトが登場しています。製品志向のマーケティング1.0、顧客志向のマーケティング2.0に対し、マーケティング3.0は社会志向と言っても良いかと思います。

経済が成長し、需要が拡大し、競争が限定的な中では、製品志向のマーケティング1.0で十分市場を創り出すことができます。製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4Pを考えれば十分事業が成り立ちます。ここでのキークエスチョンは、「如何に製品を販売するか?」です。

しかし、市場が成熟し、競争が激しくなってくると、顧客ニーズにしっかり応え自社の製品を選択し、継続的に購入してもらうことが必要になります。市場創造のためには、顧客志向のマーケティング2.0が求められます。市場をセグメント化し(Segmentation)、ターゲット顧客を選定し(Targeting)、顧客ニーズに対応して自社製品のポジションを定める(Positioning)、STPなどが求められます。ここでのキークエスチョンは、「如何に顧客を満足させ、つなぎとめるか?」です。

現在は、市場がさらに進化し、消費者が製品に対する知識や経験を持つようになり、それがソーシャルメディアなどを通じ幅広く共有されるようになっています。こうした消費者が力を持つ時代には、製品・サービスの開発や販売において、消費者の共感を得て協力してもらい、その力を活用することが求められます。

また、グローバル経済が発展する一方で、人々が人間的なつながりを求めたり、自己実現などの精神的充足を求めたり、環境や社会の持続性に不安を覚えたりしています。こうした人々の欲求に応えるには、人々を単に消費者とみなすのではなく、マインドとハートと精神を持つ全人的な存在と見なすことが必要です。

このように消費者の知識や意識が高度化した時代には、企業のほうも一段高い視座を持って、自社が如何に社会に価値を提供しているかを伝える必要があります。企業のミッション、ビジョン、バリューを通じて自社の社会的価値を明確にすることが求められます。また、社会に価値を生み出す製品・サービス、CSR活動、消費者との対話を通じ、消費者のハートに訴えかけ、感情的な結びつきと長期的な信頼を獲得し、協力者となってもらうことが求められます。これを実践するのが社会志向のマーケティング3.0です。キークエスチョンは、「如何に社会(人々)の共感を得るか?」です。

CSV*の実践には、社会と企業の両方に価値を生み出すイノベーションとともに、マーケティング3.0が必要です。社会にとっての価値と消費者にとっての価値を明らかにする。自社が生み出す社会価値をストーリーにして消費者の問題意識、貢献意識、感情に訴えかける。共感してくれる消費者との協働で社会に価値を広げていく。「世界をよりよい場所にする」ことを目的とするマーケティング3.0を通じてCSVを実践することが企業の成功をもたらす時代になっていると思います。

(参考)「コトラーのマーケティング3.0」フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ&イワン・セティアワン著(朝日新聞出版社、2010年)

*) CSV(Creating Shared Value=共有価値の創造)について

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=162

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=319

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=436

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