シェアード・バリュー・サミット

2013-05-27 08:56 am

5月23日にボストンのホテルで「シェアード・バリュー・サミット」が開催されました。

CSVを提唱しているマイケル・ポーター、マーク・クラマーが設立したFSGの主催で、今回が第3回になります。

今回の参加者は200人程度で、それほど大規模とは言えませんが、それでも第1回、第2回と比べれば大幅に参加者は増加し、参加者の国籍なども広がっているようです。シェアード・バリューは、今のところゆるやかに広がっているという段階でしょうか。しかし、FSGも”Shared Value Initiative”として、グローバル展開を本格化しており、今後は、急速に広がる可能性もあります。

今回のシェアード・バリュー・サミットは、マイケル・ポーターのプレゼンテーションから始まり、マイケル・ポーターとネスレ会長の対談、シェアード・バリューのサポーターであるクリントン元米大統領のビデオメッセージなど、内容は豪華なものでした。シェアード・バリューの推進者の数は今のところ限られていますが、粒ぞろいと言えるでしょう。

マイケル・ポーターやネスレ会長の話にも出てきましたが、米国でも昔は、企業は社会に価値を生み出すものという考え方が一般的でした。しかし、4半期報告をはじめとする短期利益主義により、企業と社会との関係が崩れており、シェアード・バリューはそれを修復するものです。ネスレは、4半期報告をやめる、投資の意思決定プロセスにシェアード・バリューの視点を組み込むなど一貫した活動を推進しており、4-5年はかかったようですが、今ではほとんどの社員がシェアード・バリューを理解するようになっているようです。

今回のボストン出張での収穫は、世界の各地域でシェアード・バリューの重要性の認識が高まっており、グローバルで本格的展開が始まりつつある状況が理解できたことでしょうか。シェアード・バリュー。国内では、推進役を担うつもりですが、これからの展開が楽しみです。

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コメント2件

  • キタムラ | 2013.05.27 10:19

    初めてコメントさせて頂きます。
    ドラッカー学会員並びにドラッカー「マネジメント」研究会企画スタッフの北村和敏と申します。
    常々、疑問に思っているのですが、何故CSVがこれほど盛り上がっているのか。社会が発展繁栄してきた理由には、少なくとも企業は企業理念に基づく、「世の為、人の為」の実践をしてきた結果です。CSRに取って替わってCSVが大切だ,のような今の風潮には疑問を感じます。CSVを実践することで公益と企業利益のバランスを取ることができるなどと言っているのを聴くと、CSRを理解していないとしか思えません。ドラッカーは企業には3つの役割があると言っています。一つは、本業から利益をあげること。二つ目は、人材を教育し、成果をあげさせること。そして三つ目が社会的責任を果たせ。です。ドラッカーの言及する社会的責任は、二つの事を言っています。一つは本業から出る副産物(例えば、排気ガス、汚染水等々)はゼロに近づけろ、さらにゼロに近づけることで新たな事業を考えることも重要だと言っています。もう一つは、社会の問題(社会の病)に対して、強みを生かして解決に挑戦しなければならない。少なくとも真剣に考えなければならないと言っています。これはすでに60年前に書かれた「現代の経営」の中で詳しく書かれています。また、企業はこれを実践してきました。今、CSVが新語のように扱われていることに違和感を感じるのは,私だけでしょうか。もしかしたらドラッカーも気付かなかった何かがあるのでしょうか?先週の土曜日に野田一夫先生、渋澤健会長をお呼びして、第8回ドラッカー総会が早稲田大学・小野梓記念講堂で行われました。その中でISO-26000とドラッカー思想について研究発表をさせてもらいました。成果物はドラッカー学会ホームページのイベントの中に張り付けています。是非、見て下さい。ISO-26000の中核主題ごとに企業不祥事・好事例を取り上げ、ISO-26000の視点から分析し、それぞれについてドラッカーの言及を載せています。120ページ以上の大作です。何か宣伝のようになってしまいましたが、CSVブームをブーム終わらせないためにも、組織のあり方を明確にしたいものです。

  • 水上武彦 | 2013.05.27 21:40

    コメントありがとうございます。ドラッカーとCSR/CSVについては、私もいくつか論考を書かさせて頂いています。
    business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110613/220750/?rt=nocnt
    www.cre-en.jp/library/opinion/pdf/110207.pdf
    www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=68

    ドラッカーの唱えるマネジメントの3つの役割は、普遍性を持っており、私もその通りだと思います。しかし、最近の短期利益重視の傾向の中で、企業は3つの役割を十分果たせておらず、社会・環境問題の解決に十分対応できていないのではないかと思います。

    CSV/シェアード・バリューは、企業が社会価値と企業価値を両立させ、3つの役割を果たすためのフレームワークを提示しようとするもの。ドラッカーの教えを実践するためのフレームワークだと考えています。

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