ボトル入りミネラルウォーターはCSVか?

2013-08-19 09:00 am

ネスレグループの水事業を担うネスレウォーターズは、”healthy Hydration”(=健全な水分補給)を自社のCSV(Creating Shared Value)の中心に据えています。そして、ボトル入りのミネラルウォーターを提供することが、自社のCSVであるとしています。

CSVは、「企業にとっての価値」と「社会にとっての価値」を同時に生み出すものです。世界最大のミネラルウォーター会社であるネスレウォーターズにとって、ミネラルウォータービジネスの「企業にとっての価値」は、明らかです。一方、「社会にとっての価値」については、異議のある人も多いでしょう。

ネスレウォーターズの主張としては、ミネラルウォーターは、より健康的な飲料の選択肢を提供しているとしています。その証拠として、消費者調査によれば、63%の消費者が、ミネラルウォーターがなければ、より環境負荷が大きく、糖分やカロリーが多い健康に良くない他の飲料を選ぶと回答していることをあげています。また、自然災害時などには、水道水が使えなくなるときもあり、ボトル入りの水が必要であるとしています。

しかし、ペットボトルが環境に負荷を与えることは、明らかです。ネスレウォーターズは、ペットボトルのリサイクル率向上に向けた取り組みを行っていますが、根本的な解決になるかどうかは分かりません。

一方、こうした議論にビジネスチャンスを見出している企業もあります。ポット型浄水器「ブリタ」を販売するザ・クロロックス・カンパニーです。「ブリタ」を使用すれば、ペットボトル廃棄物を削減できることをアピールして、売上を伸ばしています。

www.cre-en.jp/mizukami-blog/?p=281#.Ug_6yRqCjIU

ボトル入りミネラルウォーターをCSVとするネスレウォーターズの主張は、議論が分かれるところですが、そうした議論を巻き起こすところにCSVの価値があるとも言えます。社会価値の創出を新たな競争軸と捉えることにより、自社ビジネスの問題を解決する取り組みが促進されたり、より高い社会価値を生み出す製品・サービスの開発が促進されたりします。また、社会にとって価値を生み出しているかどうかを判断するのは、あくまでも社会であるため、CSVを主張する企業は、社会に耳を傾けるようになります。

ネスレウォーターズのように、企業がCSVを主張すること自体に価値があります。CSVを主張する企業が増えることは、より良い社会創りに貢献するものと考えます。

(参考)

www.greenbiz.com/blog/2013/08/08/nestle-waters-really-creating-shared-value

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