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サステナビリティの探求
「開示」における透明性について考える
山口智彦(コンサルタント)
企業を含めて組織が公式に開示するものは、
受け取る側の社会にとって、透明であればあるほど良い、
ということは自明の理であるかと思われます。
一方、「組織というのは、都合の良いことは宣伝し、不都合なことは黙っているものだ」
というのが普通の人の見方ではないでしょうか。
透明で正直な開示をしたほうが
「良い会社だ」と受け止められて、
自社への信頼も、短期的にはともかく、長期的に見れば確実に上がるのに、
なぜ透明な開示をしないのかと言えば、
自社保身の本能がどんな論理にも勝るから、
ということはみんなわかっています。
この稿を読んでくださっているのは企業で情報開示を担当している方々であろうと想定して、
今日は、自社が「不都合なことは隠したい」
という、生き物としての本能をぐっと抑えて、
透明な開示を推し進めるためにはどうすればよいか、についての考え方と、
開示の責任者となった方が最初にやっていただきたいことを申し上げたいと思います。
開示はどうあるべきかについての法的な事柄や、社会一般の概念については、
生成AIが正確かつ充分に教えてくれるかもしれないので、
本稿では、AIの回答のもっと奥にある深層について述べます。
企業を含めて、すべての組織には良い面と悪い面があります。
良悪の比率はさまざまで、
ほとんど良いところばかりの会社もあれば、
良いところがほとんどない会社もありますが、
「生命体としての組織には必ず両面がある」、
というこの自然な認識が、ものごとの本質を理解する上での基本です。
開示においては、
自社の良いところも悪いところも隠さず書く。
例えば、統合報告書やサステナビリティレポートに、
自社が果たしている社会的な役割とその成果を書く。
一方で、例えば、法で定められている安全テストをやっていなかったら、
「黙っていたい」という本能を抑えて、
「テストをやっていませんでした」と書く。
これがあるべき開示で、
社会はそのプレーンな開示を見ることで、会社を正確に評価できます。
ここで大事なことは、
統合報告書やサステナビリティレポートを読む人(例えば機関投資家)の心底の目的は、
開示されている個々のパフォーマンスデータももちろん大事ですが、
「その会社が、透明で正直であろうとしているかどうかを見極めたい」、
と思っているんだと腹を据えて認識する、ということです。
ここからが重要ですが、
「この会社は透明だ」と判断すれば読者は報告書を読み進めてくれます。
書いてあることをまっすぐに受け止めて自社の、良い悪いをきちんと評価してくれます。
一方「この会社は隠しごとをしているな」と感じると、
その報告書の他のページに何が書いてあってもそこでストップ、読者はその先は読んでくれません。
丹精込めて作った報告書を正面から受け止めてもらえないことは誰にとっても損失です。
「社会と対話したい」と組織が思うなら、まずは「透明であろう」という意思を持つことから始めたく思います。
隠しごとをする人の話は聞きたくない、という心理は、
誰にとっても自分が受け手の時には自明の理ですが、
これが社内にいるとわからなくなる、という
このことを乗り越えるには最初が肝心です。
開示業務を命じられた担当者は、
チーム組成の最初の会議でこのことをよく語り合い、
その上で、勇気を奮って社長のところに行き、
「よって、覚悟を決めて透明な開示をしなければならないんです」
ということを社長以下の経営層に話し、納得し、承諾してもらう。
その上で開示プロジェクトに着手する。
ここまで読んで、
自社の報告書を読む機関投資家や顧客の心底の目的が「透明かどうかを見る」なんて本当だろうか、
と思う方もいることでしょう。
そう思われた方は、
この記事を機関投資家や重要な顧客のどなたかのところに持っていって、
「これは本当ですか」と尋ねてみれば、皆さん、
「そう言われてみれば、その通りだ」
と応えられると思います。
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