統合経営報告

統合経営報告

トップコミットメント

統合(サステナビリティ)経営のカギとなる価値観の転換
 

若者たちの意識変革がイノベーションにつながり始めた

新しい令和の時代が幕を開けました。
日本も大きな潮目を迎えましたが、世界ではすでにSDGs元年(2015年)前後から、ミレニアル世代やZ世代と言われるデジタルネイティブのティーンエージャーたちの未来に向けた胎動が起きています。

スウェーデンでは一人の高校生が、私たちの生存を脅かす地球温暖化対策について、「今すぐにアクションを起こさなければ、私たちが生きていく時代に地球の未来はない」とスクールストライキを呼びかけ、ソーシャルメディアを通じて、その波が世界中に広がっています。今年の3月15日の金曜日には、欧米を中心に世界120カ国、160万人以上の若者が未来のためのアクションを起こしています。
※ 参考サイト:https://finders.me/articles.php?id=906

また、昨年のフロリダ州の高校での銃乱射事件を生き延びた高校生たちの「私たちの命のための行進(March For Our Lives)」は全米各地に広がり、首都ワシントンには50万人以上の若者が集い、同じ悲しみを繰り返して欲しくないと銃規制を呼びかけました。香港、インドのムンバイ、アルゼンチンのブエノスアイレスなど世界中の市民団体が連帯を表明し、すでにその数は738にも上っています。

さらに世界で深刻な問題となっている海洋プラスチックゴミ問題。インドネシアのバリ島では、高校生の姉妹2人が、美しかったビーチに打ち上げられた鯨の死骸から大量のレジ袋が出てきたことにショックを受け、「大人が動かないなら自分たちが動こう!」とレジ袋廃絶を訴えてSNSで署名を集め、州知事と直談判を重ねました。その結果、州知事は2018年までにレジ袋撤廃の覚書を交わし、この「バイバイ プラスチック バックス」運動のニュースは世界中に大きな反響を与えています。
※ 参考サイト:https://www.youtube.com/watch?v=P8GCjrDWWUM

ユニークなアイデアとしては、トルコの女子高生は、本来ならただ廃棄されるだけのバナナの皮からバイオプラスチックを製造することに成功し、米専門誌の科学賞を受賞しています。オランダでは、24歳の若き発明家がNPO「オーシャンクリーンアップ」を立ち上げ、100人以上の科学者やエンジニアと共に600mに及ぶU字型の海洋プラスチックゴミ収集機を開発。これまでに3500万ドル(約38億円)の資金を集めたというから驚きです。5年以内に太平洋ごみベルトのプラスチックごみの50%を回収することを目標にしているそうです。
※ 参考サイト:https://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2018_0927.html

もちろん日本でも、様々な兆しが見えてきました。
NASAでも不可能だった人工的なクモの糸の量産に成功した大学発のベンチャー起業家もいます。合成クモ糸繊維は、重さ当たりのタフネス(靭性)が鋼鉄の340倍もあり、自動車や航空機、建築素材などあらゆる産業での実用可能性が高まっています。また、湘南インターナショナルスクールの運営を中学2年生から始め、未来創造企業のCEOとなった女性起業家もいます。親子で一緒に学ぶ新しい形の共育コミュニティーは、すでに全国8カ所に広がっています。
※ 参考サイト:http://tedxkidschiyoda.com/speakers/1577/

エネルギー分野では、廃棄されていた卵の膜を使って燃料電池の価格を大幅にコストダウンできる技術を発見したのは、鳥取の女子高専の学生たちでした。
※ 参考サイト:https://irorio.jp/takumiurushidate/20160702/326803/

 

企業に求められる今までにないビジネスモデル変革と価値観の転換

SDGsの序言にもあるように、今の世界を持続可能にトランスフォーム(変容)するためにはサステナブルイノベーションが不可欠です。ところが今までの古い価値観や経営学にとらわれたままだと、画期的なイノベーションは起こりません。イノベーション論で有名なアメリカハーバード大学のクレイトン クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」にもあるように「短期的な金融市場の評価に囚われすぎると、利益や効率を優先し、将来の投資やイノベーションも後回しになってしまう」からです。

では今、いったい価値観にどんな変化がみられているのでしょうか。SDGsの17のゴールと169のターゲットの中には具体的な行動とその背景が明示されています。「大量生産・大量消費型のビジネスモデルから循環型経済(サーキュラーエコノミー)へ」「個人所有からシェアリングエコノミーへの転換へ」「GDP以外の持続可能で幸せの進捗を図る指標の開発」「グローバルなパートナーシップによるSDGsの実現」などが求められています。

これを生活者視点で読み替えると、「地球と共生した健康的でシンプルな暮らし方」への希求。ミレニアル世代、特にZ世代の価値観としては例えば、飽食をやめて無駄を省く。所有からシェアへ。物質的な豊かさから心の豊かさへ。そして、働き方も、ヒエラルキー構造ではなく、多様な働き型が選べる自立した個人の集まる組織へ。「誰一人取り残さない持続可能で幸せな社会」に向けて、こうした価値観をベースにしたビジネスモデルが生まれてくると期待しています。

 

次なるチャレンジは、未来社会のコレクティブ・インパクト

平成元年に創立したクレアン昨年8月に30周年を迎えました。クレアンをスタートした頃には、企業が率先して、女性の活躍支援や環境、社会課題解決を経営の中核に入れることは難関でしたが、当時の目標の第一段階は達成できたと感じています。長期的な価値向上のためにはSDGs(Sustainable Development Goals)を企業が推進することが社会常識となりつつあり、投資家もESG分野の未来財務を重視して企業を評価し始めています。

けれども、企業の取り組みをSDGsと単純に紐づけして今までの延長線上でビジネスを続けているだけでは、複雑に絡まりあった問題は解決できません。現在、クレアンのメイン業務では延べ700社以上のレポートを制作支援していますが、それと同時に2030年または2050年の超長期ビジョンの重要性やTCFD(気候変動関連財務情報開示タスクフォース=The FSB Task Force on Climate-related Financial Disclosures)を経営層にも理解してもらい、地球の環境容量の中で、地球環境と社会と経済をバランスよく成り立たせる真の統合経営への転換を推進しています。クレアン設立時に本当にやりたかった社会変革の実現に近づきつつあります。また、ESGの中でも特に重要な評価項目となっている「人財」と「企業風土」改革も価値創造には必須という認識から、クレアンでは、未来ワークショップや未来シナリオ分析など、人財育成にも注力し、若者世代の巻き込みも促進しています。

同じ志をもつ素晴らしいスタッフとともに、「令和」の大きな時代の変化を先取りし、「輝く笑顔があふれる持続可能で幸せな未来社会創り」のためにサステナブルなチャレンジをこれからも続けていきます。社会課題を解決するためのアプローチとして近年注目されている「コレクティブ・インパクト」も応用し、企業、市民、政府、自治体、NPOなど様々な立場の方々とパートナーシップを強化しながら、SDGsのゴールに向かって大きな未来社会インパクトを起こしていきます。天命の続く限り・・・。